原巨人で正捕手交代劇が起きるかもしれない。巨人の一軍メンバーも2月1日のキャンプインよりもひと足先に宮崎入りし、合同自主トレを行っている。
「原辰徳監督は『一塁、二塁、捕手のレギュラーは未定』と語り、若手選手を鼓舞していました。捕手まで未定だと言っていましたが、小林(誠司)が正捕手で、炭谷(銀仁朗)がサポートする形になると思われます」(スポーツ紙記者)
そもそも「正捕手・小林」と目されていたのは、自主トレ期間中までだった。というのも、キャッチャーの小林は昨年12月の契約更改で年俸1億円の大台に到達。出場試合数こそ減ったが、「主力選手の流出は防ぐ」という方針のもと、球団側は今季の国内FA権取得にも先駆けて3年の複数年契約を提示したという。もっとも複数年契約に関しては、小林、球団ともに否定しているが、原監督が「必要な戦力」「正捕手」と見ているのは間違いない。しかし、
「先発投手陣が固まらないんです」(前出・スポーツ紙記者)と“異変”が伝えられている。
「3年連続6度目の開幕投手に早くも指名されたのが菅野智之です。その菅野も昨季は不振で、今年は再起をかけた大事なシーズンとなります」(ベテラン記者)
菅野は左腕の動かし方をマイナーチェンジさせるなど、新投球フォームを模索中。当然、同い年で息の合う小林がその投球を捕っていた。その構図が、ちょっとヤバイ事態を招きそうだというのだ。
「最多勝の山口俊も抜けたため、2番手には新加入のサンチェスが位置づけられています。メルセデス、新人の太田、故障からの復活を目指す畠、今村、1年目の高橋優、古川、先発再転向の宮國、戸郷らが6人の枠を争う図式ですが、小林が菅野のボールを受ける時間が長くなりすぎると、炭谷が他投手の状況を確認しなければなりません」(前出・ベテラン記者)
菅野はともかく、ほとんどの投手がシーズンを通じてローテーションを守った経験がない。そのため、キャンプ、オープン戦では、各投手のアピール合戦ともなる。その際、彼らが「キャンプでもっとも多くボールを受けてくれた炭谷サンと一緒に…」という心境になるだろう、というのだ。
「正捕手の交代劇は、若手の先発投手が頭角を表してきた時に行われます。最も多くボールを受けてくれた捕手が自分のことをいちばんよく知っているので『ご指名』がかかるんです」(前出・ベテラン記者)
菅野の復活がなければ、原巨人の連覇はない。小林が付きっ切りになるのは当然だが、他投手が先発する時に出場機会を失うリスクもある。第3捕手の大城が、新加入の外国人選手、若手に合わせてブルペン入りし、アピールしてくるかもしれない。先発投手陣の再編が正捕手争いにも影響しそうだ。
(スポーツライター・飯山満)