関東のメインは東京の芝マイル戦で争われる東京新聞杯。GIII戦ではあるが、マイル戦は総じて層が厚く、この重賞は毎年のように見応え満点で、激しい競馬が展開される。
前半戦の最後に行われる同じ芝のマイル戦、GI安田記念に直接は結び付かないものの、競馬自体はおもしろく、馬券的には難解な一戦だ。
今回も、顔ぶれはなかなか。特に大きく荒れるケースはないが、それでも簡単に人気どおりに決まらないのが、この重賞の特徴である。データをひもといてみれば、それがよくわかる。
この重賞に馬単が導入されてからこれまでの17年間、その馬単での万馬券は7回(馬連は5回)。この間、1番人気馬は3勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は2回あるものの、波乱含みの重賞と言っていいだろう。
年齢的にはどうだろう。過去17年間で4歳馬が8勝(2着6回)でこれがトップ。続くのは6歳馬で、こちらは6勝(2着5回)。ちなみに、最も充実している5歳馬は3勝(2着4回)。7歳馬以上で勝った馬はおらず、2着が2回あるのみ。ということで、目をつけるべきは6歳以下の馬ということになろうか。
今回の顔ぶれもハイレベルで各馬の力は接近しており、過去のデータからも、ひと波乱ありの重賞とみていいだろう。
そうした中、穴として格好の狙い馬がいる。期待を寄せたいのは、4歳馬のクリノガウディーだ。
ここでの評価、人気はそれほどでもないが、この馬のしぶとさ、勝負根性はかなりのもの。決して軽くみるべきではない。
前走のGIマイルCSは7着に敗れたが、マイル戦としては内容的に悪くなかった。緩い流れの中、上手に折り合って好位で追走できていた。しかし、最後は「よーいドン!」の瞬発力勝負となったため、切れ負けしてしまった印象。それでも勝ち馬とコンマ6秒差なら、強敵相手を向こうに回して、よく頑張ったと評価していいだろう。
前走後は短期放牧でリフレッシュ。ハナからここが目標だったので、しっかりと調整されており、3カ月ぶりの実戦とはいえ、抜かりなく仕上げられている。1週前の追い切りも軽快でリズミカル。持てる力を出せる状態とみていい。
「また一段とたくましくなった印象。東京までの輸送もあるし、いい雰囲気で臨めそう」
藤沢則調教師をはじめ、厩舎スタッフはそう口をそろえるほど。ならば期待していいのではないか。
東京コースは〈0 0 0 3〉と実績はないが、前々走の富士S(今回と同じ東京芝1600メートル)は、前の馬が壁になってスムーズさを欠く場面がありながら、勝ち馬とコンマ3秒差の好内容。パワフルな走りを見せ、しまいもしっかりしている馬。直線の長いこの舞台が合わないはずはない。
東京コースに実績を残したスクリーンヒーロー(ジャパンC)産駒。道悪も上手そうで、晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。
穴中の穴として推したいのは、ドーヴァーだ。
前走の京都金杯でも伏兵視され注目を集めたが、パドックから落ち着きを欠くなど本来の姿になかった。恐らく「2走ボケ」ではなかっただろうか。それでも不向きな流れの中、しまいは見せ場を作ったほど。
今回は全7勝のうち3勝をあげている東京コース。母系は欧州の一流血脈で、血統的にも重賞を勝っていい馬。一発があっていい。