年明け最初のGI競走となるフェブラリーSが今週のメイン。GI戦になって今年で24回目を迎えるが、舞台は東京ダートのマイル戦。フルゲート(16頭)で争われることが多く、激しくも迫力ある競馬が堪能できる。
また、国際競走で地方から参戦できることもあり、毎年のことながら顔ぶれがいい。前哨戦の一つ、東海Sの覇者エアアルマスの参戦はないが、今年もこれからのダート界を背負っていくであろう力量馬がそろった。馬券的にも、なかなかおもしろいGI戦と言ってよさそうだ。
とはいえ、大きく荒れることは少ない。03年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単での万馬券は4回(馬連は3回)。この間、1番人気馬は9勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着4回)。ただし、1、2番人気馬によるワンツー決着は3回しかなく、人気、有力どころが枕を並べて‥‥ということはめったにない。
年齢から言えば、勝ち馬は4、5歳馬が圧倒的(ともに7勝、2着5回)で、過去17年間で7、8歳馬の勝利はない。ただ、ここ数年の傾向として6歳以上の古豪の活躍が目立ち、よく連対を果たしている。そのあたりは注目すべきだ。
そして、前哨戦の根岸Sとの関連が小さいことは指摘しておこう。過去17年間で根岸S─フェブラリーSを連勝した馬は3頭のみ。根岸Sの連対馬が本番でも連絡みしたのは前述の3頭を含めて5頭しかいない。
近年、一線級と言われる馬は別路線からくるか、あるいは、間隔を開けて直行してくることも多いが、1400メートルで争われる根岸Sと1600メートルのここは、別物とみるべきだろう。
ただ、今年のメンバーを見渡してみると、別路線組で抜けて強いと言える馬はいない。地方競馬から中央に移籍して初戦となるブルドッグボスとて、実績(昨秋のGI、JBCスプリント覇者)は認めるが、マイル戦は未経験。少し割り引かざるをえないし、東海Sの2、3着馬、ヴェンジェンスとインティも当然、争覇圏内とみられるが、全幅の信頼は置きかねる。
つまり今回は、各馬の力量がハイレベルで拮抗しており、これまであまり例がなかった「混戦模様」とみるべきではないか。
18年の安田記念を勝ち、初ダートとなった根岸Sを制したモズアスコットが勢いに乗じて本番も──というケースは十分あっていいが、前述したように連勝した馬が少ないうえ、距離が2ハロン延びてどうか。さらに前走が約3カ月の休み明けだったため、「2走目のポカ」がないとは限らず、やはり絶対視はしづらい。
ここは、思い切っていこう。狙いは根岸Sで頑張って上位争いを演じた「負け組」のワイドファラオだ。
根岸Sは、昨暮れのGIチャンピオンズCで14着に敗れたあとの一戦。放牧でリフレッシュされ、体調はアップしていたが、まだ体に余裕があり、本来の姿になかった。
それでも58キロの斤量を背負い、勝ったモズアスコットとコンマ5秒差の5着なら上出来で、評価していい好内容だった。この中間はガゼン良化し、1週前の追い切りも文句なし。コンビを組む福永騎手をはじめ、厩舎関係者も「マイル戦のほうが持ち味が生きる」と口をそろえている。
昨春の芝のマイル重賞ニュージーランドTを勝った馬でもあり、このGI戦で好成績を収めている明け4歳馬。雨が降って時計勝負になるのも問題なく、今回は好勝負間違いなしだ。
穴は同じ根岸S組(8着)のワンダーリーデルだ。7歳馬だが、超の字が付くオクテと言ってよく、ここにきての充実ぶりが目立つ。昨秋の武蔵野Sを制しているように、東京のダートマイル戦はベスト。こちらもワイドファラオと同じローテーションで、休み明けの根岸Sを使われての変わり身を見込んでいい。