汗ばむような季節になったが、コロナ禍は終息をみるに至っていない。しかし競馬はクライマックスに向けてGI戦で盛り上がりを見せ、毎週のように熱戦が繰り広げられている。今週は3歳牝馬の祭典、樫の女王を決定する頂上決戦、オークスがメインで行われる。
2歳女王に輝き、その勢いで桜花賞を制したソダシがこのまま2冠馬となるのかが焦点だが、残念ながら最強の好敵手、サトノレイナス(桜花賞2着)の顔はない。周知のとおり、来週のダービーに挑むからである。
であれば、最有力候補であるソダシの独壇場とみられても当然だ。
これまで土つかずの5連勝。それも重賞4連勝とあっては、うなずくほかない。他馬を寄せつけぬ、という派手さはないが、それでも前走の桜花賞を含め、レコード勝ちが2回。競走馬としては珍しい白毛馬ということも相まって、とにかく注目度はハンパない。
この中間も順調そのもの。仕上げに微塵の狂いもないとあっては、女王の座に就くのも、そう難しいことではあるまい。
近年、桜花賞とオークスを制した馬は、03年スティルインラブ、09年ブエナビスタ、10年アパパネ、12年ジェンティルドンナ、18年アーモンドアイ、そして昨年のデアリングタクトだが、ソダシはこうした女傑たちに十分匹敵する存在だろう。
ただ「絶対」かというと、どうだろう。レース巧者と言えるが、前述した女傑たちと比べて決め手にやや甘いところが気になる。
しかも距離が一気に800メートル延びる東京芝2400メートルという舞台で、これまでと同じように華麗に舞うことができるかどうか。やや疑いの目を向けたくなる。
好敵手サトノレイナスは不在だが、代わってライバルとして手を上げる馬も少なくなく、包囲網は、なかなか強固。直線が長い東京だけに、ライバル勢のつけいるスキも十分にあるのではないか。
ではデータを見てみよう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、馬単での万馬券は6回(馬連も6回)。この間、1番人気馬は8勝(2着3回)、2番人気馬は2勝(2着4回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は4回。どうやら堅く収まる時もあれば、大きく荒れることも少なくない、極端な傾向にあるようだ。
穴党としては、やはり、ひと波乱ありとみたい。ソダシの足をすくう馬として最も期待を寄せるのは、ウインアグライアである。
トライアルのフローラSは5着に終わったが、ひと息入ったあとで体調はイマイチ。しかし使われた今回は大幅良化しており、1週前の追い切りの動きもよかった。
和田雄調教師も「体調はグンとよくなっている。距離が延びていい馬。この状態をキープできれば」と、期待感たっぷりに話す。
血統も魅力だ。ヘクタープロテクター(仏2000ギニーなどGI5勝)が近親にいて、シャンハイ(仏2000ギニー)、シーロ(リュパン賞などGI3勝)、ボスラシャム(英1000ギニー)が一族にいる良血。道悪も上手で、晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。
穴中の穴は、ハギノピリナだ。未勝利─特別を連勝中と急激に力をつけており、この中間の状態も実にいい。サンデーサイレンスの3×4の近親配合(奇跡の血量馬)がまた魅力で、母系は欧州の一流血脈。一発があっていい。