桜花賞、皐月賞が終わり、今週から東京開催に移ってGI戦は小休止。その開幕週のメインを飾るサンスポ賞フローラSは、2着以内の馬に優先出走権が与えられるオークスのトライアルレースである。
毎年のようにフルゲート(18頭)で行われることが多く、予断を許さない激しいレースが繰り広げられている。だが今年は、フルゲートになるかどうか、微妙と言っていい。
しかも第2、第3グループが集う競馬で、桜花賞からの直行組に比べると、見劣りするとみられてもやむをえないところだろう。
それでもマイル(桜花賞)では持ち味、能力をフルに生かしきれないとみて、ハナからオークス狙いの馬も少なくない。そのあたりをどう吟味するか、本番を見据えて見応えある一戦が期待できる。
何度となく指摘してきたことだが、東京芝2000メートルは、中山のマイル戦と並んで枠順による有利、不利が際立っている。スタートして加速がつくところで急に折れる最初のコーナー(2角)があり、外枠の馬はハジかれたり、スムーズに曲がれないなど、コースロスを被ることが少なくないからだ。多頭数になればなるほど内枠の馬が有利になることは、頭に入れておいて損はないだろう。
実際、7、8枠の連対率はかなり低い。運に左右されるということにもなるが、過去の傾向としても順当に収まるか、荒れるか、極端なレースである。
馬単が導入されて以降、これまでの19年間、1、2番人気馬によるワンツー決着が4回なのに対して、馬単での万馬券は7回(馬連6回)もある。それほどつかみづらい重賞で、人気どころが大外枠を引くようなことがあれば、ある程度は疑ってかかるべきだろう。
いずれにせよ、前述したように一線級がここに出走してくることは少ない。過去19年間、ここで好走して本番のオークスでも勝ち負けした馬はサンテミリオン(10年)ぐらい。その意味では、あまり本番を意識せず、仕上がり状態のいい馬に目をつけるのが馬券戦術の筋である。
無論のこと、枠順も考慮しなければいけないのだが、もろもろ吟味したうえで期待したいのは、ルージュスティリアだ。
昨夏の新潟で評判どおりに新馬戦を勝ち上がったものの、体調を崩して復帰したのが前走のチューリップ賞。病み上がりで7カ月ぶりの実戦が桜花賞トライアルとあっては、さすがに荷が重かった。
落ち着きを欠いていたこともあり、大きく出遅れての6着。が、最後方から直線だけで追い上げ、勝ち馬にコンマ6秒差まで迫ってみせたことを思えば、ここは見直すべきだろう。
休み明けを使われたことで、この中間は大幅な良化ぶりを見せている。1週前の追い切りは軽快そのもの。体調がよくなったことで気持ちに余裕が出てきたのだろう。前走時と違って落ち着き払っているのがなんともいい。
「まだ成長する余地は十分だが、以前と違ってひ弱さが消えたのが何より。能力は秘めており、どこまでやれるか楽しみ」とは、藤原英調教師の弁。ならば狙わない手はない。
昨年のダービーを制したシャフリヤールと同じ調教師(藤原英師)と騎手(福永祐一)のコンビというのも魅力だが、血統(母系)がまた、すばらしい。
祖母ワンデスタはサンタアナHなど米GI3勝馬で母系は欧州の一流血脈。均斉の取れた好馬体からも力は確かで、道悪にならないかぎり、好走必至とみた。