鏡を見たら白目が真っ赤になっていた。そんな症状があったら「結膜下出血」かもしれない。
結膜下の小さい血管が破れたことで発症する病気で、まばたきをする際に、結膜が引っ張られて、出血を起こすと考えられている。
目の「充血」と混同されがちだが、「充血」の場合は、細い血管が拡張した状態なので、血管が見えるのが特徴。血管収縮剤を使うと赤みが減るので見分ける際に有効だ。
一方、「結膜下出血」は、痛みや痒みなどの自覚症状がほとんどないので、他人から指摘されたり、鏡を見て初めて気づくケースが多い。
つい、白目の出血だと心配になるが、目の奥で出血する「眼底出血」とは違うため、視力低下や、視野が狭くなることもないので安心してほしい。
目の出血自体は、放っておけば1~2週間で出血は自然に吸収され、綺麗な白目に戻るため、特に治療の必要はないが、それ以上経っても治らない場合は眼科を受診するといいだろう。
ただ「結膜下出血」の引き金となるのは、くしゃみや咳、過飲酒、ストレスという説もあるが、はっきりしていないのが現状だ。
気をつけたいのは、疲れ目と同じくホットタオルなどで目を温めて症状を緩和しようとすること。これではかえって血流が増し、症状を悪化させることになりかねない。「結膜下出血」の症状がある時は、目の乾燥を防ぎ、パソコンやスマホの使用は控えめにして、症状を悪化させないことに努めたい。
もし、白目が真っ赤になっているだけでなく、痛みや痒み、目ヤニ、涙の回数が増えるなど、他の自覚症状がある場合は、別の目の病気の可能性もあるため、眼科医で検査を受けたほうがいい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。