貿易停滞で手痛い打撃を受けるのは韓国のほうなのである。その理由を三橋氏はこう話す。
「輸出入品目に注目する必要があります。日本から韓国に輸出しているのは、多くが石油製品や自動車部品など、企業が生産活動のため購入する資本財です。日本が韓国から輸入しているのは、家電など消費財が大半を占めている。つまり、日本から輸入した部品を組み立てて製品にして、海外に売っているのが韓国なのです。部品がなければ製品は作れないのです」
韓国は輸出入依存度がともに45%を超えており、第2位の貿易相手国である日本と国交が断たれれば国内経済も停滞する。しかも、日本が韓国に輸出している資本財は代替が利かないものが少なくないという。
「例えば、日本が輸出している高純度のネオン、クリプトン、キセノンといったレアガスは、韓国にはまったく生産能力がない。このレアガスは化学反応を起こさない不活性な性質から、半導体の生産ラインには欠かせない製品です。レアガスが日本から輸出されなければ、韓国のサムスン電子は一瞬で倒れます。一方で、日本が韓国から輸入している製品の多くを占めるのはスマートフォンです。日本からサムスンのスマホがなくなったとしても、日本製のスマホを使えばいい。韓国に資本財を輸出していた企業は一時的には苦しくなるかもしれないが、他国の企業に売ればいいだけですので、日本は何も困らないのです」(三橋氏)
韓国のGDPの約7割はサムスンや現代などの10大財閥の収益である。最大の財閥であるサムスンの収益はGDPの2割を占めている。レアガスを止めるだけで、韓国は崩壊すらしかねないというのだ。
韓国経済の脆弱さは何も製造業だけではない。「呆韓論」(産経新聞出版)の著者である評論家の室谷克実氏がこう話す。
「韓国の銀行というのは海外支店が少なく、信用もない。韓国企業が海外で取り引きをする際に保証をしているのは日本の銀行であることが多い。昨年8月にも、韓国輸出入銀行がみずほ銀行から5億ドルの融資を受けています。8月といえば、終戦記念日もあって、韓国人が盛んに反日を叫ぶ時期に、国営の銀行が日本の銀行に救ってもらっているというのもおかしな話です」
12年末時点で日本の対韓直接投資残高は2兆2093億円。対する韓国の対日直接投資残高は2461億円。国交断絶となれば、日本が投下した資産は回収できないだろう。しかし、日本の多額の資金で支えられている韓国経済が立ち行かなくなるのも自明のことなのだ。