今年の国内ダート短距離戦では唯一となるJpnI競走のJBCスプリント(11月3日・盛岡)を制したダンシングプリンス(牡6歳、美浦・宮田)が、日本の競馬史上初の快挙に挑む可能性が出てきた。
同馬は始動戦として、連覇が懸かるリヤドダートスプリント(23年2月26日・サウジアラビア・キングアブドゥルアジーズ、ダート1200メートル)出走が有力視されている。
国際G3としては破格の1着賞金90万米ドル(約1億2600万円)の同レース後の転戦プランもある。1着賞金87万米ドル(約1億2180万円)の国際G1、ドバイゴールデンシャヒーン(23年3月25日。アラブ首長国連邦・メイダン、ダート1200メートル)に駒を進める可能性が浮上しているのだ。
同レースは国際競馬統括機関連盟(IFHA)が公表した、12年から14年の年間レースレーティングの平均値に基づく「世界のトップ100GIレース」では、全体の86位。ブリーダーズカップ・ディスタフの85位に次ぐ高評価を受けている、由緒あるレースだ。
これまで日本馬は19年のマテラスカイ、21年のレッドルゼルの2着が最高着順で、いまだ1着でゴール板前を駆け抜けた馬はいない。日本競馬界にとってこのレースに勝つことは、悲願のひとつだ。
ダンシングプリンスは一度、「地獄」を経験している。3歳の8月に栗東・鮫島一歩厩舎所属で中央デビューしたが、初戦となった小倉の3歳未勝利戦(芝1200m)では2着。その後の条件戦では11着と大差負けを喫し、船橋の岡林光浩厩舎に転厩した。その後、19年11月から20年1月11日にかけて、船橋の条件戦で3連勝を挙げ、中央競馬の宮田敬介厩舎に移籍してきたのだ。
人間にたとえれば、苦労人。その馬がシンデレラボーイとなって、UAE王族たちの前で日本馬の歴史を作れるのか、注目だ。