まだ寒さが遠のく気配はないが、2月も半ばを迎えると春のクラシック候補が絞れつつあり、古馬も大阪杯や天皇賞・春を目指す一線級が始動。そんな時期だけに、活躍が見込める馬からは目を離せない。
今週の東西のメインは、ファンとしては注目すべき一戦で、東京のそれは共同通信杯。ここで勝ち負けした馬は、皐月賞やダービーで上位争いを演じるケースが多いだけでなく、それ以降のGI戦を制した馬も少なくない。
過去20年で見てもアドマイヤムーン、ゴールドシップ、イスラボニータ、リアルスティール、ディーマジェスティ、スワーヴリチャード、そしてエフフォーリアなどで、それだけ毎年、将来を嘱望される質のいい馬がそろう。
今年も厩舎期待の素質馬が惜しげもなく出走してきた。先日のAJCCを快勝したノースブリッジの弟で、新馬戦を圧勝して2戦目での挑戦になるタッチウッドは、まさにそんな期待の1頭。さらに東スポ杯2歳S2着のダノンザタイガー(母は米GI勝ち馬)、朝日杯FS3着のレイベリングも負けず劣らずで、周囲の評価はきわめて高い。
この3頭の他も多士済々といった顔ぶれで、それだけにどう転ぶか予断は許さない。
まずは過去のデータを見てみよう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単での万馬券は4回(馬連は0回)。比較的順当に収まる重賞にみられるが、この間、1、2番人気馬によるワンツー決着は3回のみ。1番人気馬は4勝(2着6回)、2番人気馬は3勝(2着3回)で、1、2番人気のいずれかの馬が連対したことが半数に満たないことを思うと、それだけ力のある期待の素質馬がそろっている証しである。
馬券的には人気どころから少し穴っぽい馬に何点か流すと、思わぬ高配当になるという「中穴傾向」の一戦と言ってよさそうだ。
そうした視点に立って出走各馬を吟味すると、何頭か浮かび上がってくるが、中でも期待を寄せたいのはファントムシーフだ。昨暮れのGIホープフルSは、2番人気で4着に敗れてしまったが、3カ月ぶりの実戦ということもあり体重が前走比10キロ増。成長分があったにせよ、少々、余裕残しの仕上がり状態だったとみるべきで、それでも勝ち馬とコンマ2秒差は、負けてなお強し、の印象だった。
今回はそれ以来2カ月ぶりの実戦になるが、短期放牧を挟んで丹念に乗り込んできている。中間の稽古の動きも実にリズミカルで、1週前の追い切りもよく、まずは抜かりのない仕上がり状態とみていいだろう。
血統(母系)は超一流と言ってよく、祖母はGI勝ち馬で、5代母もGI勝ちの女傑。少なくとも春のクラシックへ向けて、賞金をしっかりともぎ取ってくれるものと期待したい。
一方の京都記念は、一昨年の王者エフフォーリア(皐月賞、天皇賞・秋、有馬記念)や、昨年のダービー馬ドウデュースが出走してくる。
が、穴党として最も狙ってみたいのは、スカーフェイスだ。
7歳馬ということで峠を越したとみられてもやむをえないが、当初は無理使いが効かず、休み休みの出走を重ねてきた。それだけに年齢的な衰えはまったくない。むしろ、ここにきてたくましくなっており、今が盛りという印象さえある。
天皇賞・春を制したスズカマンボなど一族に活躍馬が多い血筋。舞台は〈3 2 0 4〉と相性のいい阪神でもあり、チャンスは十分とみた。