2月8日、北朝鮮が朝鮮人民軍創設から75周年を記念した軍事パレードを、首都・平壌の金日成広場で実施した。
これを報じた国営の朝鮮中央通信によれば、パレードには戦術ミサイルや長距離巡航ミサイル、さらに戦術核運用部隊、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」が披露されたという。北朝鮮事情に詳しいジャーナリストが解説する。
「出席した金正恩総書記の演説はなかったようですが、公開された映像には李雪主夫人とともに、娘のジュエ氏らしき人物も映っていました。ジュエ氏は最近になって、金総書記に同行する様子が頻繁にアピールされていることから、金総書記の後継者として位置づけられていることが窺えます」
今回のパレードは対北朝鮮で協力して対抗する日米韓をけん制する狙いもあったとされるが、ジュエ氏の登場とともに注目されたのが、過去最高の十数基が登場したICBMだ。
「『火星17』は20年10月の軍事パレードで初公開され、昨年11月には日本海へ向けて発射。北海道の西の日本のEEZ(排他的経済水域)内に落下して北朝鮮が成功を大々的に報じ、日本を震撼させました。そして今回のものは従来の液体燃料型から、より迅速な発射が可能となる固体燃料型に改良された最新型との見方もあり、韓国政府が注視しています」(前出・ジャーナリスト)
威嚇の度を強める北朝鮮が昨年、日本海に発射したミサイルは、過去最多の73発。その一方で、軍事パレードが行われた8日には、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙「朝鮮新報」が、こんな情報を伝えている。
「北朝鮮の外務省研究員が省のウェブサイトに投稿した記事を紹介しているのですが、日本が1月26日、種子島から政府の情報収集衛星を搭載した『H2A』ロケット46号機を発射したことを非難。『地域情勢の緊張を激化させる危険な行為』などと噛み付いたのです。さらに研究員は、日本は1970年からこれまで100機を超える衛星を発射してきたが、03年に初のスパイ衛星を打ち上げ、最近は先制攻撃能力保有のために兵器開発と導入に拍車をかけている、とも。さらには『平和と安定を目指す国際社会の正当な要求と警告に耳を傾けるべきである』などと指摘している。自分の国は昨年だけで73発もミサイルを発射しておきながら、いったいどの口が言っているのかと、呆れるばかりです」(前出・ジャーナリスト)
わかりきっていることだが、かの国には国際秩序も常識も、いっさい通用しない。金正恩の大暴走は、エスカレートするばかりだ。