光あるところに影がある。日の丸を背負った男たちの「野球人生」もこの先、どう転ぶかわからない。代表メンバーも前途洋々とばかりは言えないようだ。
通常のシーズンよりも前倒しで、ベストコンディションに整えてきた侍たち。慣れないWBC球やMLB式のストライクゾーンに順応していく過程で“WBC後遺症”という病に蝕まれていくことも想定される。球界OBが警鐘を鳴らす。
「真っ先に被害が表面化するのは投手のほう。中でも、WBC球の対応に手こずった投手は、NPB球に戻すのにも時間を要する。今大会の場合は、高橋奎二(25)や松井裕樹(27)がアジャストするのに苦労していた。WBC球のツルツル滑る質感に慣れていない投手は、普段より強くボールを握ってしまうもの。その影響で力こぶのできる上腕筋がパンパンに張ってしまう。23年シーズンで投げられないどころか、最悪、選手寿命をかなり縮めてしまう可能性を秘めているのです」
確かに過去の大会を振り返ってみても、大会後に成績が振るわなくなった選手は枚挙に暇がない。
「09年大会後にキャリアが下降線を辿った松坂大輔(42)はわかりやすいケース。17年大会に参加した武田翔太(29)や秋吉亮(33)も、その後のキャリアに影を落としました」(スポーツ紙デスク)
若手主体のNPB投手陣にとって苦難の年にならなければいいのだが‥‥。
一方で野手の場合は控え組が憂き目を見るという。
「山川は打ち込みを重視するバッター。本拠地のような自由がなく、時間制限のある中での打撃練習には相当ストレスを溜めてきたことでしょう。同様に控えに回ることの多かった山田哲人(30)も、実戦を含む打席数の確保が必要です。今のままでは恒例の『春先のスロースターター』が梅雨時まで延長する可能性が高い」(NPB関係者)
途中から合流した牧原大成(30)には同情の声が上がっている。
「ソフトバンクではセンターのレギュラー争いの真っ只中でした。それが、代表ではユーティリティープレーヤーとしての立ち回りを求められた。当然ながら、実戦の打席数もわずかしか与えられていません。同ポジションの上林誠知(27)が絶好調なだけに開幕スタメンに黄色信号が点灯しています」(前出・スポーツ紙デスク)
同様に代表チームで控えからレギュラーに昇格した中野拓夢(26)はコンバートしたばかりのポジションを剥奪される一歩手前だ。
「昨オフに日本ハムから阪神に移籍してきた渡邉諒(27)の評価が上がっています。岡田彰布監督(65)も『コンスタントに打てる右(打者)は貴重やん』とスタメン起用も示唆している。弱肩の中野の適性はセカンドなのですが、代表チームではショートを守らされている。初スタメンに起用されたチェコ戦では初回にエラーを記録。向いていないポジションでエラーを重ねて心に傷を負わなければいいのですが‥‥」(前出・スポーツ紙デスク)
果たしてWBCの終わりは、ハッピーエンドかバッドエンドか!?