さて、“印税云々”といった、野暮なお話はこのくらいにして、金言集が発売になってから、ひと月程した頃、北野映画の撮影のため宿泊したホテルにて、
「北郷の奴が俺の喋ったことを金言なんていって本にしたからよ、普段喋る時も気の利いたこと言わなきゃいけないと思って、意識しちゃって大変だよ」
と、やはり付き人のシェパード太郎に漏らしていたそうです。
まさか、単行本のせいで、殿の発言が変わってくるとは‥‥。
ちなみに最近、行く先々で金言集のことをよく聞かれるわたくしは、
「本が出てから、殿が金言を意識するあまり、口数が減ってしまって困っています。それでたまに喋ったかと思えば、今度はあまりにも金言を狙いすぎて、正直、ぱっとしない言葉の数々に、やはり困っています」
といった答えを義務のように返しては、少しばかりの笑いを取らせて頂いております。
話を殿に戻しましょう。
最新北野映画の撮影のため、まるまる1週間、ホテルで宿泊をされていた殿は、撮影が終わっても酒を飲むことなく、部屋で静かにテレビを見て過ごす日が続いたそうです。
そんな殿を見て、あるスタッフが「監督は夜ずっと部屋にいますね」と尋ねると、
「うちの北郷が出した本で、俺がカツラが異常に好きだとか書いてたから、しょうがねーからこっちも誰か新しいカツラのタレントはいないか探して、北郷に報告してやろうと思ってよ。毎日テレビ見ながらカツラ探しで大変なんだよ」
と、答えたといいます。殿、わずかなプライベートでのカツラ探し、恐れいりました!
で、これらの、金言集にまつわる殿の発言は全てプライベートで発した言葉ばかりです。
では、公の場では、殿は金言集についてどう言っているのか、最後に記して〆たいと思います。
金言集が発売されてから、1週間後に殿が出演された、高田文夫先生の「ラジオビバリー昼ズ」(ニッポン放送)の中の発言から──。
「こないだ北郷が俺の本を出したけど、あれ面白い本だけどよ、俺のことずっと書いてて俺には一銭もくれないってのはどういうことだよ! あんなもんパンダの観察日記みたいなもんだろ。それなのにパンダに一銭もあげないってのはどういうことだよ。冗談じゃないよ!」
殿、ご安心ください。わたくし、印税が入ったあかつきには、いろいろと考えがございますので‥‥。