国会で高市早苗経済安保相(62)が総務省と水掛けバトルを繰り広げている。「高市レクはあった」「文書はまったくの捏造だ!」丁々発止の激論の行く末は──。
政治部デスクが解説する。
「まさに売り言葉に買い言葉。野党議員の『捏造でなければ議員辞職だ』という挑発に『結構ですよ!』と、みずから地雷を踏んでしまった。一介のお役人が国民の信任を得た代議士、ましてや閣僚に対し『大臣は大嘘つき』とは口が裂けても言えないはず。高市氏の脳内には安倍戦略があったわけです」
17年の森友学園への国有地売却問題では、安倍元総理が「私や妻が関係していたら総理も国会議員も辞める」と断言し、財務省が公文書の改ざんを行った悪しき前例が思い当たる。
しかし今回、総務省は「黒塗り報告書」など灰色決着ではなく、78枚の文書を全公開。再調査の上、「高市レクはあった」と追加報告書を提出したのだ。
となると、形勢逆転。完全否定の高市氏は窮地となり、ついには文書内のみずからの発言「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?」について、
「テレビ朝日をディスるはずもない。恥ずかしながら私は羽鳥(慎一)アナウンサーの大ファン。朝は羽鳥さんの顔を一目見て出かけるくらい」
などと、突如として人気キャスターに秋波を送ったのだ。さらには「信用できないのなら質問しないで」とヤケクソ気味の発言で、予算委員長から異例の注意を受ける始末となった。
政治評論家の有馬晴海氏がこの顛末を看破する。
「およそ国会答弁とは思えない幼稚園レベルの発言です。そもそもこれは、安倍元総理の秘書官がテレビ番組に介入し、言論弾圧を進めていたというのが本筋の話だった。ところが、高市氏の発言で問題がすり替わってしまった。すでに自民党内からも『捏造』という言葉を使った高市氏を糾弾する声が出ている。高市氏が引くしかない状態です」
当の羽鳥は自身の番組で「高市さんの進退ということで注目すると、結論が出たら終わってしまう。『政治的公平』という放送法の問題で、官僚とどういうやり取りがあったかが大事だ」と、バッサリ。頼みの綱に見捨てられた高市氏は「ありもしないことをあったかのように作ることを捏造と申し上げた」と発言をトーンダウンさせて後退一途。かつての女性総理候補ナンバーワンはもはや水に落ちた犬のようで‥‥。