5人に1人が悩まされていると言われる「ドライアイ」。
これはパソコンやスマートフォンの画面を長時間見続けることで、目の表面が乾いてしまう疾患だ。別名、「乾燥性角膜炎」とも呼ばれ、主な症状には、目の乾き、涙目、充血、ヒリヒリとした痛みなど多岐にわたる。
「ドライアイ」は、涙の量的異常と質的異常の2つに分類される。量的異常は、涙の分泌そのものが少ない状態を指す。質的異常は、涙の油分が不足するなど成分バランスが崩れ、涙を保持する能力が変化してしまう状態を指す。患者の9割程度が涙の「油不足」だと言われている。
いずれも特に環境要因が大きいと考えられている。例えば、パソコンのディスプレイなどを見続けることによってまばたきが減ることや、冷暖房により室内が乾燥するため発症しやすいばかりか、コンタクトレンズを長時間着けること、夜型生活、食生活の変化、運動不足などのライフスタイルも一因だ。加齢により涙の分泌量が減ったり、涙の質が低下して乾燥しやすくなったりするケースもある。
予防ポイントは3つだ。
1つ目は、パソコン作業などで画面を長時間見る場合には、1時間に15分程度は目を休ませるようにすることが大切だ。その際に、温めた蒸しタオルをまぶたの上に乗せると、より効果が期待できる。
2つ目は、マイボーム腺をマッサージすることだ。マイボーム腺とは、まぶたの上下にあり、まつ毛の生え際よりもやや内側にある油分を分泌する器官。目を閉じた状態でまつ毛の生え際に指先を当て、優しく撫でるのがポイント。
3つ目は、まばたきの回数を増やすことだ。デスクワークの合間に、意識的にまぶたをしばたたかせるのもいいだろう。
市販の目薬で水分を補うことは困難で、病状を悪化させる危険もある。気になったら、眼科を受診しよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。