最近、階段を上る時に股関節に鋭い痛みが現れる──。もしかしたら、「股関節痛」かもしれません。
「股関節痛」は、足をひねったり、靴下を履くといった足を動かす行為の時に、足の付け根に痛みを感じるのが特徴。逆に、長時間椅子に座っている時や、立ちっぱなしの状態では平気なケースが多い。
「股関節痛」の代表的な病気が「変形性股関節症」だ。これは、関節への負担が原因で、加齢と共に軟骨がすり減ることによって、痛みや股関節の動き(可動域)に制限が生じる。歩行時や階段の昇降時だけではなく、夜間の安静時にも痛みがある場合がある。もし、これらの症状が見られたら、レントゲン検査のできる医療機関を受診する必要がある。
「リウマチ性股関節症」も股関節痛を発症する。これは、自己免疫疾患のひとつ。この病気は、起床時に股関節の痛みと共に、手指のこわばりや手指関節の痛みが現れることが多い。原因は、関節内にある滑膜という組織が、免疫異常を起こしてしまうことで関節に炎症が起き、関節が変形してしまうために発症する。通常、手指や手首のような小さな関節に多く見られ、股関節のような大きな関節には起こりにくい。しかし、一度関節破壊が進むと急激に悪化するため注意が必要だ。悪化すると寝たきりになる危険性もある。
多くの股関節痛は、命の危険の少ないケースが多いが、まれに危険なサインの病気もある。それが「大腿骨頭壊死症」だ。股関節を形成する大腿骨頭への血流が悪くなることで、骨髄が壊死し、最終的には壊死した部分の骨折や骨頭の圧潰を引き起こしてしまう疾患だ。原因はいまだ明らかになっていない。
股関節の痛みがある場合には、早めに整形外科を受診する必要がある。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。