本サイトが4月10日に公開した記事では、3歳牝馬クラシックの第1関門にあたる桜花賞(阪神・芝1600メートル)を異次元の鬼脚で制した怪物牝馬リバティアイランドに「オークス(5月21日、東京・芝2400メートル)を回避して日本ダービー(5月28日、同)出走へ」の仰天プランが浮上していることを指摘した。
ところがフタを空けてみれば、リバティアイランドは定石通り、3歳牝馬クラシックの第2関門、オークスへと駒を進めたのである。
牝馬のリバティアイランドがダービーを制すれば、2007年に同レースを制したウオッカ以来の快挙となるはずだった。ではなぜ、ダービーを回避したのか。
背後には牡馬3歳クラシック皐月賞(中山・芝2000メートル)を同じく異次元の末脚で制したソールオリエンスの存在があるという。生産者や馬主、厩舎など「馬を走らせる側」の舞台裏に詳しいホースマンは、
「リバティアイランドがダービーに駒を進めていたとすれば、ソールオリエンスとの世紀の一騎打ちになったことでしょう。どちらか勝つかは『神のみぞ知る』の世界ですが、レースは空前の盛り上がりを見せたはずです。ところがリバティアイランドの生産者はノーザンファーム、馬主はサンデーレーシングで、ソールオリエンスの生産者は社台ファーム、馬主は社台レースホース。要するに生産者も馬主も同じ社台グループ、いわゆる『同じ財布』なのです。ダービーで同じ財布の2頭が優勝することは基本的にあり得ませんから、2頭をオークスとダービーにそれぞれ使い分けたのでしょう。社台グループがよく使う手法です」
逆に言えば、オークスのリバティアイランドとダービーのソールオリエンスは、いずれも確勝を期しての出走ということにもなるのだが、競馬ファンとしては世紀の対決を寸前でフイにされた思いだろう。