一方で常に付きまとうのが、弱小球団からの移籍の噂だ。特に今オフにはFAを取得することもあり、報道はさらに過熱している。エンゼルスのオーナー、アート・モレノ氏(76)は、
「プレーオフ争いの間は大谷のトレードはない」
と断言するが、裏を返せば、ワイルドカードすら狙えなくなればシーズン中でも移籍の可能性がある、ということ。MLB事情に詳しいスポーツライター・友成那智氏が語る。
「昨季サイ・ヤング投手のジャスティン・バーランダー(40)が抜け、先発ローテからも故障者が続出しているアストロズや、5年に1度レギュラー選手をほぼ全員売りに出し、現在は若手育成中のアスレチックスなど、不調のチームが多いことも手伝って、エンゼルスは現状、ア・リーグ西地区で2位につけています。さらに首位のレンジャーズも今季加入したエース、ジェイコブ・デグロム(34)が4月末に故障し、復帰が遅れている。エンゼルスにとってはプレーオフ進出の大きなチャンスなんです」
しかし、昨季のエンゼルスは今季以上のスタートダッシュに成功するも、5月末からチームワーストを更新する14連敗。貯金を一気に吐き出しプレーオフ争いから撤退した。今年のトレード期限である7月31日までに同じ轍を踏まないとも限らず、そうなれば、トレードは極めて現実的になるという。
「エンゼルスでワールドシリーズに出て世界一を獲得できるなら、チーム残留は間違いない。ですが、大谷は何より勝つことに飢えている。大谷は今年、花巻東高時代から懇意にしていたアシックスを切って、用具やウェアの契約をニューバランスに変更、アメリカのシビアな契約社会に適合しています。チームへの愛着、というような浪花節で人生を左右する選択をすることは考えられません」(MLB記者)
すでにヤンキースやドジャース、メッツなど、日本人にも馴染みの深い球団名が候補として挙がっているが、
「二刀流実現の観点から見て、資金力が豊富かつ6人ローテを敷くチームに限られます。つまり、金はあっても5人ローテのヤンキースやドジャースは対象外。最有力は左の大砲も欲しいメッツですが、今は強豪とは言えず大谷の希望にかなうかと言えば微妙。あとはダルビッシュ有がいるパドレスあたりでしょうか」(友成氏)
今夏はエンゼルスの勝敗と大谷の動向から目が離せそうにない。