NHKは公共放送ではあるが、報道しない自由も勝手に謳歌している。NHK理事の高額報酬問題は、そのひとつだ。
5月22日の参院決算委員会で、自民党の和田政宗参院議員が、新しくNHK会長となった日銀出身の稲葉延雄氏に対し、NHK理事の報酬問題を追及した。
それによると、NHK理事の報酬は2206万円。過去に外部から招聘したことはあるものの、現在の理事10人は全員が内部昇格であることを、和田氏が指摘した。この報酬は「高額ではないか」との追及に、稲葉会長は「民間に比べ、著しく高い金額ではない」と答弁。和田氏は自身のツイッターに「胸を張って答弁。国民感覚からあまりにかい離」と書き込んだ。
和田氏が問題視するのは、2年間理事を務めるだけで、理事報酬と退職金で計5400万円を得ること。この原資は全て、NHKが言う「みなさまに公平に負担していただいている受信料」だ。
NHKは受信料によって「特定の利益や意向に左右されることなく、公共放送NHKとしての役割を果たすことができる」としているが、NHKの内部に不利益となる内容のものは放送しない。NHKは和田氏が4月に、同じ参院決算委員会で少子化対策について質問した時には報道したが、理事の高額報酬問題はいまだに報じていない。
和田氏も金額だけを問題視しているのではない。仮に外部から優秀な人材を招き、徹底した改革を実行するならば、これくらいの報酬は支払わなくてはならないが、全員が内部昇格である理事にこれだけの報酬を与えるのは妥当ではない、というわけだ。
しかもNHKは「経営改革」と称して改革を実行しているが、理事らの報酬には全く手を付けていない。経営委員会において削減しようと思えば簡単にできるにもかかわらず、である。
理事の高額報酬は2年間で終わることはない。退任後にNHKの子会社、関連会社に天下れば、さらに高額の報酬を受け取ることになる。これでは到底「みなさまのNHK」とは言えない。この事実をNHKで放送すべきである。