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浦和レッズがリーグ最少失点でも首位に立てない致命的な「欠陥」

 スコルジャ新監督を迎え開幕から2連敗を喫したものの、その後は安定した戦いを見せ、虎視眈々と首位を狙う浦和レッズ。

 その原動力となっているのがアレクサンダー・ショルツと、今季から加入したマリウス・ホイブラーテンのセンターバックコンビ。ゴールキーパーの西川周作にしてみれば、自分の前にこの2人の壁があることで、余計な仕事をすることもなくビックセーブを連発。このトライアングルを崩すのは簡単ではない。つまり、この3人を中心にした守りが今の安定した成績に繋がっている。現に失点数は第17節が終わった6月11日の時点で12とリーグ最少を誇っている。

 また、選手層の厚さも大きい。各ポジションに使える選手が2人はいる感じで、誰が試合に出てもチーム力が落ちることはない。30代の選手が多く、これからの暑い夏を乗り越えるのに不安を感じるが、大久保智明、安居海渡、さらに日本代表に推薦したい伊藤敦樹など入団2年目、3年目の選手が先発で結果を出している。

 では、なぜ抜け出せないのか。もちろん消化試合数が少ないこと、ACL決勝の影響もあるだろう。ただ、一番の課題は決定力のなさ。現在首位に立つ横浜F・マリノスや、前節まで首位に立っていたヴィッセル神戸に比べると総得点が少なすぎる。しかも、横浜Mにはアンデルソン・ロペス(13点)、神戸には大迫勇也(11点)と頼りになるストライカーがいるが、浦和にはいない。ここまでチーム最多得点は興梠慎三、ショルツの3点。いくら守備が安定しているとはいえ、点が取れなければ優勝は厳しい。

 その原因は、名古屋グランパスに移籍したキャスパー・ユンカーの抜けた穴が埋まっていないということ。代わりにホセ・カンテを補強したが、まだその力を出し切っていない。それ以上に期待を裏切っているのが、前のロドリゲス監督時代に補強したブライアン・リンセン、アレックス・シャルクといったFWが結果を出していないこと。結果を出すどころか先発出場することも少なく、助っ人としては失格だ。

 今夏、攻撃陣の補強は必須で、外国人の入れ替えを考えた方がいい。現にここにきて、ポルトガル人のジョアン・アマラウ獲得の噂が出ている。アマラウはスコルジャ監督がポーランドリーグで優勝したポズナン時代に、トップ下として14得点8アシストを記録している攻撃的な選手。

 安定した守備力に決定力が加われば、ACLに続きJリーグという、ふたつのビックタイトル獲得も夢ではない。そのために今夏、浦和はどういう補強をするのか。

(渡辺達也)

1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。

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