今週は新潟で「オールカマー」が行われる。昨年こそ9番人気ヴェルデグリーンが波乱を演出したが、比較的堅めの重賞。はたして今年は? 一方、阪神の菊花賞TR「神戸新聞杯」は、ダービー馬ワンアンドオンリーの始動戦。
中山の代替競馬が続く新潟開催。今週のメイン産経賞オールカマーは、先週のセントライト記念と同じく内回りの芝2200メートルで争われる。息の長い、それでいてしっかりした末脚を武器とした馬によりチャンスがあると思われるが、夏競馬から続く3開催目の終盤ともなれば芝コースは傷んできており、なおさらタフさが要求されるだろうか。
今回はフルゲート必至。顔ぶれを見ると、そうした持久力が特徴の馬が多く、熱のこもった見応えのある競馬が展開されそうだ。
過去10年を振り返ってみると、馬単で万馬券になったのは2回(馬連はゼロ)のみ。特に大きく荒れるというレースではない。過去15年に広げてみてわかることは、8歳以上の高齢馬が連対を果たしたことはない(3着1回)。それに出走頭数が少ないこともあるが、牝馬の連対も皆無。このへんは頭に入れておいたほうがいいか。充実期にある5、6歳馬が強いのも特徴だ(5歳馬が10回も2着になっている)。
このあたりを念頭に馬券作戦を練ってみよう。
とはいえ、個性豊かな面々。一筋縄では収まりそうにない。人気はどうだろう。小倉記念勝ちのサトノノブレス、目黒記念を制したマイネルメダリスト、新潟に実績のあるユールシンギング、アスカクリチャン、クランモンタナ、宝塚記念以来になるも乗り込み豊富なフェイムゲーム、さらには牝馬ながら実力派のアロマティコ、エバーブロッサムといったところだろうが、いずれも絶対視しきれるような馬ではない。これまでになく難解であることは確かだ。
本来なら、休み明けを使われたことで変わり身が見込めるユールシンギングに期待したいところだが、追い込み一辺倒の脚質。悪い馬場はこなすとしても脚を余して届かず──ということも考えられ、穴党としては推し切れる馬ではない。
ヴェルデグリーンが勝った昨年と同じく、波乱含みと見る。
狙ってみたいのは、ムスカテールだ。帝王賞(大井6着)を使って以来、3カ月ぶりの実戦ということで評価はイマイチ。が、夏場は調整に充てて秋に備えていたまで。久々の不安はなく、きっちりと仕上がっている。つまり、持てる力を出し切れる状態に達しており、これが推奨できる最たる理由だ。
叩き良化型の印象を受ける馬だが、意外や鉄砲駆けが利くタイプ。そのへんは見落としてはならない。
今回はそこを見越して夏場牧場で英気を養い、調整を積んできた。先々週、先週ともに栗東の追い切りでは、リズミカルでシャープな動きを披露していた。
そもそも右回りでは内にモタれるところがある馬。左回り新潟でのこの一戦は、陣営にとって早くからの目標だったわけだ。
「重め感なく仕上がっている。差はないと思っている」と、友道調教師他、厩舎関係者は、こう言って自信をチラつかせるほどだ。
しっかりとした息の長い末脚を身上としており、また力を要す馬場も合っている。今の荒れた新潟の芝は持ち味を生かすには、まさに好都合ではないか。
ウイングドラヴ(GI愛ダービー)、ダイワカーリアン(GII札幌記念)、フィデリテ(GIサンタラリ賞)など近親に活躍馬が多くいる良血。晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。
◆アサヒ芸能9/22発売(10/2号)より