つい先日、都内にある韓国料理屋で打ち合わせを終えた殿が店を出た瞬間、
「で、で、ででで弟子にしてください!」
と、思いっ切り店先で土下座をし、弟子入りを直訴する若者が現れました。
殿はその、明らかに興奮から過呼吸になっていた若者の腕をやさしくつかんで立たせると、
「何? お笑いがやりたいの? だけど、今は弟子は取ってないからな。まーお笑いがやりたいんだったら、ライブ(お笑いライブね)なんかを観にいったりして、とりあえずはいろいろ観たほうがいいぞ」
と、諭すような口調でアドバイスをされたのです。
確かに、現在殿は弟子を取っていないため、この若者が弟子入りを許され、晴れてたけし軍団メンバーとなる確率は大変低いと思われます。が、そこはこの世界、“運”です。決まりごとなどあってないようなもの。ですから、何らかの形で、もし土下座の若者がたけし軍団の一員となった場合には、間違いなく「ビートたけしの付き人」といった大役から、スタートを切ることになるのです。
そこで今回は、ずばり“ビートたけしの付き人”について、書かせてください。
殿が“売れて”すでに40年近くなりますが、殿の周りには常に付き人がいて、今現在も2人が付いています。殿の一番弟子であり、一番最初の付き人を務めていた、そのまんま東さんから数えると、歴代の付き人の数は、軽く30人を超えていて、思えばさまざまなタイプの人間が、殿の下に付いておりました。付き人初日、目の前の殿に緊張しすぎて気を失い、ひっくり返って楽屋の机に頭をぶつけ、そのまま慶應病院に運ばれ、おでこを6針縫った男、殿がお茶を一口飲むたびに、すぐに熱々のお茶を何度も注ぎ、殿より、「わんこそばじゃねーんだから、ポンポン注ぐな!」と、叱られた男などなど‥‥。
とにかく殿の下には、さまざまタイプの“少しおかしな若者”が常に付いています。
で、殿はとにかく多忙なため、付き人も1人ではとてもまかなえません。殿がどれほど多忙か、ある日のスケジュールを紹介します。
まず、昼過ぎからテレビのレギュラー番組2本撮り、それが終わると場所を移動して映画の編集。で、この間にも待ち時間に雑誌の取材と特番の打ち合わせをこなしていきます。
このような日常が毎日普通に続く殿です。ですから、付き人も1人ではとても対応ができないため、常に複数の付き人が必然的に必要となってくるのです。