阪神のドラフト1位ルーキー・森下翔太に、早くも「第2の佐藤輝明化」を心配する声が持ち上がっている。スポーツ紙デスクが、眉をひそめて言う。
「昔からそうですが、阪神に対する東と西のスポーツマスコミの対応は違いすぎる。森下なんかはここ数試合程度しか活躍していないのに、もう救世主扱いですからね。森下の中央大学の先輩であるDeNA・牧秀悟の1年目の活躍に比べたら、大騒ぎするにはあたらない。持ち上げすぎです」
切り込み隊長の近本光司が死球骨折で出場選手登録を抹消されており、在阪マスコミや虎党の、森下にかける期待は確かに大きい。だが2軍暮らしも多く、7月13日のDeNA戦(甲子園)終了時点で33試合に出場して2本塁打、12打点。打率はわずか1割8分6厘だ。12日の同カードでサイ・ヤング賞投手のトレバー・バウアーから2号2ランを放った翌日の関西各紙の扱いは、エンゼルス・大谷翔平をしのぐものだった。この狂騒曲に、ある阪神OBは、
「少々というか、かなりやり過ぎ。新人時代の佐藤輝明も当初はそれなりに特大ホームランを打ったことで、関西は大盛り上がりだった。ところが、これで本人が勘違い。今やチーム内での立場は微妙になっている。森下もこのままなら、同じようになる危険性をはらんでいる」
事実、阪神では佐藤だけでなく、アスレチックスに移籍した藤浪晋太郎、高山俊など1年目に活躍した選手を持ち上げすぎて、その後の成長を妨げている。
しかもチームの指揮を執るのは、辛口コメントでおなじみの岡田彰布監督。青柳晃洋のようなエース投手でも、試合で結果を残さなければ、容赦なくコキ下ろし、2軍での調整を命じる。もし周囲の持ち上げに森下が勘違いして増長すれば、岡田監督以下、首脳陣のアドバイスに耳を貸さなくなり、軋轢を生む可能性が出てくる。
「OBの中には『森下を第2の佐藤にしてはいけない』と話す人も多いですからね。本来なら、そっと見守るべきです」(前出・スポーツ紙デスク)
入ったチームが間違いだった、ということにならなければいいのだが。
(阿部勝彦)