日本シリーズで盛り上がるこの時期ですが、一方で各球団の外国人選手の去就が気になるところです。1年目で打点王を獲得した阪神・ゴメス、本塁打王に輝いた西武・メヒアなどは、球団も優良外国人として評価しているので、来季の契約を喜んで結ぶはず。しかし、2年目も手放しで期待できるかといえば、それほど甘い世界ではないのです。
ゴメスとメヒアに共通しているのは、弱点を把握される前に打ちまくり、気分よく日本の野球に入れたことです。ゴメスはオープン戦の終盤に出場しただけ、メヒアはシーズン途中の5月中旬から戦線に加わりました。実際、2人とも相手球団にデータがそろったシーズン後半は成績を落としています。来季もチームの戦力となるには、オフの間に相手の攻め方を研究し、自分の弱点を見つめ直すことが肝心です。
残した数字に対する判断が難しいのが、楽天・ジョーンズです。メジャー通算434本塁打を誇るスラッガーの来日2年目は、打率2割2分1厘、24本塁打、71打点の成績でした。打率は規定打席以上では両リーグワーストです。ところが出塁率はリーグ3位の3割9分4厘をマーク。パ・リーグ新記録のシーズン118四球は、安打数の99を上回っています。この四球の多さをどう評価すればいいか。もちろん選球眼のよさもあるのですが、この数字は「いかに5番打者が弱かったか」の証明でもあるのです。
去年はマギーという勝負強い5番打者が控えていましたから、打線が機能しました。ですが、マギーがメジャーに復帰し、新しく加わった大物助っ人のユーキリスがまったくの期待外れに終わりました。故障のため5月上旬に米国に帰国すると、そのまま戻ってくることもありませんでした。ジョーンズの出塁率を生かすも殺すも5番打者しだいです。適任者がいなければ、ジョーンズに代わる主砲を探したほうがいいかもしれません。
外国人選手が実際に活躍するかどうかは、プレーしてみないとわからないのも事実。いわばクジのようなものです。今季は巨人・セペダ、DeNA・グリエル、ロッテ・デスパイネとキューバ政府が3人の野手を派遣しましたが、キューバはナショナルチームは強くても、国内リーグのレベルが低いので、より判断は難しくなります。彼らの真価が問われるのも2年目以降でしょう。
先ほど触れた、「当たりクジ」と言えるメヒアに関しては、実は昨オフの阪神の新外国人の最終リストにも残っていたようです。私は阪神との交流戦でのパワフルなスイングに一目ぼれし、中村GMに「メヒアは獲れなかったのですか」と尋ねました。すると、「最後まで迷って、長打力のあるゴメスのほうを選んだ」ということでした。蓋を開ければゴメスが26本塁打、メヒアが34本塁打と逆の結果となりましたが、どちらを選んでも外れではなかったということです。
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