このたび、2年程前にスタートした週刊アサヒ芸能の連載が、晴れて100回目を迎えました。
思えば、連載が始まる直前、何度か重ねた担当さんとの打ち合わせにて、「わたくし、殿との面白エピソードは、優に100個以上はあります!」と断言していたのですが、実際のところ、それはまったくのハッタリであり、付き人時代につけていた日記を頼りに、さまざまな殿との思い出をほじくり返してみても、殿との面白話は、せいぜい連載20回分程のストックしかなく、心の中で〈なんだかんだで、30回も続けば御の字だな〉といった思いを密かに抱いておりました。
さらに、殿のことをあれこれ書くと言ったって、〈実際、どこまで書いていいのやら?〉と、連載前から最大の疑問にぶち当たり、すでに書く前から少しばかり途方にくれてもいたのです。
が、そんなわたくしの悩みを吹き飛ばしてくれたのは、他でもない殿でした。
連載開始直前、殿に「『たけし金言集』といった連載が始まります」と報告を入れると、殿からすかさず、
「じゃーよ、それ、俺がいかにスケベでダメなやつか、しっかりと書くように」
と、これ以上ない抜群な助言を頂戴し、その言葉をまるっきり鵜呑みにしたわたくしは、やれ、殿のアソコは皮被りで、酒席などで全裸になる時は、その皮を自分で剥く習性があるだの、やれ、連れていってもらった特殊浴場で盗み聞きした、殿とおねいさんの恥ずかしい会話などなど──。殿からOKが出たのをいいことに、実に自由に、そしてリミッターなしに、毎週筆を走らせると、いつしか〈殿の話なら、いくらでも書ける!〉と確信するようになったのです。が、その結果、
「お前がアサ芸で俺のこと好き勝手書くからよ、人に聞かれた時いろいろと大変だよ」
と、少しばかりの苦言を頂戴したこともありました。
とにかく、2年にわたり「100」というキリのいい数字まで辿りつくことができたのは、これもひとえに、担当さんや読者の方々などのお力では決してなく、全てわたくし1人の実力であったと、強く思う今日この頃、これからも何卒よろしくお願いいたします。
感謝の意を述べる殿が、決まってやられる言い回しをマネしまして、今回の話に移らせていただきます。