心筋梗塞や狭心症など心臓疾患は多々あるが、「心臓肥大」も高齢者が気をつけたい病気のひとつだ。
これは、心臓の筋肉(心筋)が厚くなり、平常時よりも心臓が大きくなった状態を指す。心筋が厚くなることにより心臓の機能が低下し、全身に十分な血液が送り届けられなくなってしまうのだ。 主な症状は、動悸、息切れ、顔や足のむくみ、疲れやすい、胸痛だが、自覚症状がないケースも多い。しかし、放置すると不整脈や脳梗塞などの発症リスクが高まるため早期発見が必要だ。
「心臓肥大」を引き起こす、一番の原因は「高血圧」だ。全身へ血液を送り出す役割を果たす心臓に、高血圧が原因で過度な負担がかかってしまい、その結果、心臓の負担が増えて心筋が厚くなってしまうのだ。
その他にも心臓弁膜症、心筋梗塞、先天性心奇形、肥大型心筋症などの病気を患っている場合にも、心臓肥大は発症しやすい。持久力を要するスポーツを長時間続けていたことで起こる「スポーツ心臓」も心臓肥大を引き起こすことで知られるが、一般的な心臓肥大とは異なるものだ。
「心臓肥大」の最も効果的な予防法は、血圧のコントロールに尽きる。そのためには、「食生活の改善」と「適度な運動」が重要になる。塩分を控えて、カリウムを積極的に摂取することがポイント。カリウムは、ほうれん草や海藻、大豆食品、キノコ類に多く含まれ、余分な塩分を排出してくれる。ただし、腎臓病を患っている場合、カリウムの摂取には注意が必要となる。運動は、ウォーキングや水泳、サイクリングなどの有酸素運動が血圧を下げるために有効だ。これらの有酸素運動を、1回30分、週に3日以上行うのがベストである。
定期的に、レントゲン検査や心電図検査などを受ければ鬼に金棒だ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。