「自分がその地位に就いた時に、親父の偉大さを知った」
こう感慨深く口にしたのは、第69代横綱・白鵬(現・宮城野親方)だ。通算成績1187勝247敗253休(122場所)で、通算勝ち星は歴代1位。幕内優勝45回は第48代横綱・大鵬の32回、第58代横綱・千代の富士の31回を超える最高記録だ。横綱成績899勝129敗253休(84場所)も歴代1位なのだが、奮起を促したのは父親の言葉だったようである。
DeNA前監督アレックス・ラミレス氏のYouTubeチャンネル〈【ラミレス公式】ラミちゃんねる〉9月25日の動画に出演した宮城野親方は、次のように振り返った。
「自分より番付が下の人に弱かったと思う。取りこぼしが多かった。そこに親父のアドバイスが『15日間、毎日、優勝決定戦の終わりだと思え』。そこでスイッチが入った」
角界関係者が言う。
「勝った後に土俵上でガッツポーズ、土俵を割った相手力士への不要なダメ押しといった、横綱としての品格には首を傾げたくなることも多々ありました。右ヒジでのかち上げや顔面へのはたき込みなど、格下相手に横綱らしからぬ取り組みがたびたび物議を醸しましたが、勝利への執念がさぞや強かったのでしょう」
余談だが、大鵬の父親はただ者ではないことを加えておきたい。1968年、メキシコ五輪レスリングフリースタイル87キロ級で銀メダルを獲得。モンゴル人初のメダリストであり、母国では銅像が作られるほどの人気ぶりだ。大横綱の白鵬をして、こう言わしめる。
「父親が偉大すぎた」
(所ひで/ユーチューブライター)