いつしかBクラスが定位置となり、2年連続でセ界の最下位を争った立浪ドラゴンズ。慢性的な貧打がチーム順位を低迷させているだけに、現役時代に巧打者で鳴らした指揮官は歯がゆい思いでいっぱいだったに違いない。そんな中でブチ上げられたのが、母校の偉大なる先輩の入閣報道。その背景には、PL学園OBの固い結びつきが見え隠れしていた。
暗黒期に突入した中日を救う「仰天プラン」が飛び出した。9月20日付の「デイリースポーツ」の1面で、来季のヘッドコーチ候補として清原和博氏(56)の名前がリストアップされていることが報じられたのだ。球界関係者が解説する。
「来季3年目のシーズンとなる立浪和義監督(54)たっての希望です。2人は、かつて高校球界で常勝野球部だったPL学園出身。立浪監督は清原氏の2学年下で一緒の時代を生き、プロ入り後も互いに一流プレーヤーとして公私にわたり蜜月関係だった。立浪監督が2000本安打を達成した時には、清原氏が花束を贈呈する一幕もありました。その結びつきは引退後も継続されていて、20年に覚醒剤取締法違反の執行猶予が明けた清原氏の社会復帰にも立浪監督が一役買っている。現在、その成果が出ているようですが、ラジオやテレビの解説に呼んでもらえるように、旧知のメディア関係者たちに頭を下げて頼み込んできたそうです」
22年、23年と、2月には清原氏が中日の春季キャンプ地を訪問。22年7月には中日のユニフォーム姿で始球式にも登場した。
「立浪監督は自身の権限をフル稼働して、清原氏と球界の関わりを絶やさないようにしている。今回の入閣構想も大島宇一郎オーナー(58)やスポンサー筋にみずから根回ししているといいます」(球界関係者)
そこまでの尽力をいとわないほど、2人の関係性は深いというわけか。その心の内を、立浪監督と同じPL学園野球部33期生で、元巨人の橋本清氏が明かす。
「学生時代から世話になってきた恩義を返そうとしているのでしょう。球界にOBをたくさん輩出しているPL野球部においても、私たちの代は清原さんが3年生の時の1年生で『部屋子』として過ごした〝直系の後輩〟にあたります。当時、甲子園のスターだった清原さんや桑田真澄さん(55)の後輩として出会わせてもらったことが運命なんです。わずか20人の同期しか経験できないことですからね。しかも、同じグラウンドで練習して、寮生活で寝食をともにした時間が『絆』という言葉では薄っぺらいほど、究極の繫がりを形成しているんです」
「部屋子」とは、3年生と相部屋になって世話をする1年生部員のことだ。立浪監督を支える片岡篤史2軍監督(54)は当時、まさに清原氏の部屋子だった。
そのコネクションは世代を超えて構築されている。
「19年に東京・八王子で開催された『レジェンドベースボールフェス』という野球教室にPL野球部OBが集結しました。私の2学年後輩で元西武の野々垣武志(52)が音頭を取って、清原さんを中心に私や同期の野村弘樹(54)、1学年下の宮本慎也(52)が講師として参加しました。と同時に、プロに行っていないPL野球部OBもボランティアで運営を手伝ってくれました。私を含む後輩たちは、清原さんのためならやれる限りの協力は惜しみませんよ」(橋本氏)
後輩たちが一致団結してレールを敷く、大先輩の球界復帰への道だが‥‥。