昼は地味な陰キャの40代女性会社員が、夜になると激しく腰を振る…。何を想像しましたか?
壮大な中央アジアの草原を舞台にした、視聴率19%超えのTBS日曜劇場「VIVANT」が終わり、高校野球をテーマにした「下剋上球児」では異国情緒が足りないとお嘆きの視聴者には、木南晴夏のオリエンタルなベリーダンスがハマり、大化けするかもしれない。
この秋、木南が演じるドラマの主人公は、昼はちょっと変わった会社員、夜になるとプロのベリーダンサーに変身する。
10月22日スタートのこの日曜ドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系)は「姉系プチコミック」で連載中の芦原妃名子氏の同名コミックが原作。ダークファンタジー全盛のコミック業界で、発行部数100万部を超えるヒット作だ。
ベリーダンスはご存じの通り、お腹を出した露出度の高いトップスとボトムスの上にヒップスカーフやスカートを巻き、胸や腰をくねらさせて踊る、妖艶なダンス。古代エジプトで五穀豊穣を祝った世界最古のダンスであり、トルコ人やインド人、放浪の民がユーラシア大陸に広めていった。
日本ではウエストがキュッとくびれたスレンダーなダンサーが多いが、中東では「豊作」を象徴するふっくら女性が胸や腹、尻、二の腕など全身の肉をブルンブルン震わせながら踊る。
イスラム圏の女性は人前で顔も出さないのに、なぜ露出度の高い衣装で男性を蠱惑するダンスを踊るのか、不思議に思った人もいるだろう。ショーやレストランなどで踊るのは、異教徒の外国人プロダンサーなのだ。
イスラムの女性がベリーダンスを踊れないわけではなく、初夜に新郎新婦が寝床を共にする前に、新郎のためだけにベリーダンスを踊るのが新婦の嗜み。母親は娘に口頭伝承で「新郎に末長く愛されるための妖艶ダンス」を仕込むという。
モロッコの観光ガイドに聞いたところによると、新婦の手作りダンス衣装はあの武田久美子もびっくりの貝殻や全身が透けているなど、新郎をソソらせるために各家庭で趣向を凝らしているそうだ。
ドラマに話を戻せば、放送前に公開されているポスタービジュアルとYouTubeを見るだけでも、木南の腹筋が「カニ腹」に割れているのがわかる。ベリーダンスを踊るために、さぞかしインナーマッスルを鍛えたであろう、無駄な肉のないしなやかなスレンダーボディーは、とても一児の母とは思えない。女性視聴者でも惚れてしまう。
筆者がややハイテンションでこれを書いているのは、ちょうど前日にベリーダンスショーを見てきたばかりだから。都内や大阪、名古屋の中東料理店で夜な夜なベリーダンスを踊る日本人女性たちも「セクシー田中さん」と同じ、昼間は会社員や女性社長として働いているベリーダンサー達だ。
ドラマでもベリーダンスショーでも、テンポのいいイスラム音楽とダンサーたちの日頃の鍛錬の成果を楽しんでほしい。
(那須優子)