かつて「不倫は文化」と開き直り、世の女性たちから大ヒンシュクを買うことになったのは石田純一だが、不倫や火遊びといった男女の分かり合えない仲を「異文化交流」と喩え、多くの芸能マスコミ関係者から「完全に石田のお株を奪ったね」と言われたのが、森本レオだ。
2002年4月、「女性セブン」が森本と「絵描きの卵」(本人談)で女優・裕木奈江似の女性が、森本のマンションで同棲している、という記事を掲載。当時、森本は59歳、片や女性は28歳という、自分の娘より年下だった。ところが同誌の取材に答えた森本は、
「ま、愛人て言うんですかね。愛人なんて言うと、彼女に失礼かもしれないな」
とした上で、
「浮気を断罪し合うから、ゲシュタボの恐怖政治みたいになっちゃってる。婚姻届用紙に印鑑という、それだけではない人生を探し出していると思う」
そうして不倫についての独自見解を述べた後に、
「僕の生き方について、悔しがる人もいっぱいいます。『なんでオメーみたいなジジイがよ』って。それに関してはありがとうだな、やっぱり。一番の誉め言葉だから」
なんら悪びれることもなく語ったのだった。
こんなネタを前に、芸能マスコミが指をくわえているはずもなく、雑誌発売前日の4月24日、森本が都内で記者会見を開くことになったのである。
ボサボサ頭にメガネ、白いシャツ姿で会見場に現れた森本は、眠たそうな目を擦りながら開口一番、
「遅れてすみません。なんですか、こんなに大勢。いや~、お騒がせしています」
ただ、同棲報道については、こう反論。
「同棲という言葉はおかしいなぁ。恋愛関係はありませんよ。ただのメシ友です」
そして記事についてあれこれ突っ込まれる中で飛び出したのが、冒頭で紹介した、
「いや~、異文化交流みたいなもんです」
というコメントだったのである。
むろん翌日のスポーツ紙やワイドショーが、この「異文化交流」ネタに時間を割いたことは言うまでもない。ところが、である。
森本は2004年1月14日に行われた、ドラマ「スカイハイ」制作発表の席でも、
「(釈由美子との共演について)まだお互い遠慮しているけど、これからも異文化交流だよね」
会見場に失笑が漏れることになった。
「正直言って、森本の方が石田よりはるかにエグイことを言っているんだけど、なにせあの声とあの風貌ですからね。トレンディー俳優と言われ、キャラが鼻についていた石田とは受ける印象が異なる。それが、あの大騒動が尾を引かなかった理由かもしれませんね」(ワイドショーデスク)
ちなみに芸名の「レオ」は、「オレ」を逆さまにしたとのことだが、元祖「脱力系」と言われながらも、スキャンダル俳優として数々の名言を残し、芸能マスコミを賑わせてくれたひとりだった。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。