JR東日本が毎年度発表している「各駅の乗車人員」は、鉄道好きならいつまでも見ていられるほど楽しめる調査結果だ。これはJR東日本の駅の1日あたりの平均乗車人員を明らかにしたもので、数が多い順にランキングされている。1位は60万2558人の新宿駅で、最下位は平滝駅(長野県下水内郡栄村)の4人。
東京23区に限れば、最下位は4807人の越中島駅(江東区)。次が6547人の上中里駅(北区)、9247人の高輪ゲートウェイ駅(港区)と続く。
そんな中、23区のランキングでワースト6位に入っているのが、1万2270人の綾瀬駅(足立区)。これを聞くと実際に綾瀬駅を利用したことがある人は驚くことだろう。駅周辺はとても賑わっているからだ。鉄道ライターが言う。
「最下位の越中島駅は周囲に東京海洋大学のキャンパスがあり、住宅が少なく寂しい雰囲気で利用者が少ないのも理解できます。2位の上中里駅も同様です。ところが、綾瀬駅の周辺は飲食店が並ぶ繁華街がある。人通りも多く、利用者が1万2270人とはとても信じられません」
実はこれにはカラクリがあるのだ。鉄道ライター続ける。
「綾瀬駅には東京メトロ千代田線が乗り入れていますが、JR東日本が発表した乗車人員数は常磐線の利用者だけで、千代田線は含まれていません。千代田線の1日あたりの平均乗降人員は34万9331人。合わせて約36万人が綾瀬駅を利用しているんです。これだけ多ければ駅の周辺が発展するのも納得です」
データだけで判断してはいけないといういい例ではないだろうか。
(海野久泰)