上毛電鉄上毛線は、群馬県を東西に走るローカル路線。両端の駅がどちらも他の鉄道路線と直接接続していないという、珍しい路線でもある。ただ、利用者のほとんどが地元住民で、知名度はあまり高くない。最もよく知られている駅は「富士山下駅」(群馬県桐生市相生町)。読み方は「ふじさんした」ではなく「ふじやました」。
富士山が世界遺産に登録されると、富士山の最寄り駅と間違えて同駅にやってくる外国人観光客もいたという。2014年にはそんな勘違いを題材にしたテレビCMも登場した。
言うまでもなく最高峰の富士山の最寄り駅ではないが、かといってまったく無関係というわけではない。同駅を訪れたことがある鉄道ライターによると、
「富士山下駅のすぐ近く、徒歩3秒の場所には本当に『富士山』があります。富士山に行くのが簡単ではなかった昔、代わりに登られた山で名前も『富士山』。標高163メートルと低く、簡単に登ることができます。低いので頂上からの景色(写真)は決していいとはいえませんが、足元を渡良瀬川が流れ雰囲気はいいですね」
小さな無人駅で、周囲には洋食店があるだけ。それでも「富士山」に登るために訪れる価値はあるかもしれない。
(海野久泰)