番組改編期、この3月でいくつかの番組が終了するが、とりわけ残念なのが「それって!?実際どうなの課」(日本テレビ系)の終了だ。
チャンカワイやザ・たっちによるダイエット企画や、狩野英孝による激狭な駐車場に挑戦する企画も楽しみだったが、中でも森川葵の挑戦企画は必ず見ていた。金魚すくい、クレーンゲーム、石投げ水切り、ロックバランシング、ダイススタッキング、テーブルクロス引き、ヨーヨー、ア-チェリートリックショット、アーティスティックビリヤードなどなど。
森川が様々な競技や大道芸の高難度のスゴ技に挑戦し、毎回、指導する達人たちが舌を巻くほどのスピードで上達する。そんな彼女を、番組側もわれわれ視聴者も、畏怖の念を込めて「ワイルド・スピード森川」と呼んでいた。どんなに失敗しても「できる!」と自分に言い聞かせて挑み続ける彼女の姿勢に、何度も心を打たれたものだ。
「スポーツスタッキング」に挑戦する企画に至っては、韓国で開催されたアジア大会に日本代表として出場し、団体で金、ペアで銀、個人で銅のメダルを獲得するという快挙まで達成してしまった。個人的には「汗ばむ女子フェチ」の自分にとって、苦戦する森川の頬が紅潮し、シャツが肌に貼り付き、髪がしっとりと濡れてくるのを見るのもまた一興であった。番組の終了によってそれがもう見られなくなるのは、本当に残念でならない。
3月27日放送の最終回は「フィナーレ!女優・森川葵ワイルドスピードSP」。前半は、これまで挑戦した大技の数々をダイジェストで。そして後半はまず、以前の挑戦では泣く泣く失敗に終わった「2メートル先に置かれたバスケットボールの、わずか2ミリの空気穴に矢を投げ入れる」というダーツのトリックショットを。もうひとつは「8メートル先の、わずか6ミリのマッチ棒の先端に目掛け、ヤスリを巻いたディスクを投げて着火させる」というフライングディスクの「ファイヤーショット」でリベンジする姿が映し出された。
まず挑戦したのはダーツ。久しぶりに投げた森川の矢は、最初こそ的の中央に刺さらなかったものの、すぐに感覚を取り戻し、相変わらずの勘の良さを発揮。が、いざ本番となると、何度やってもボールに弾かれてしまう。そもそも達人でさえ前回の放送時は、成功するまでに224投し、やっとだったのだから、いかに難しい技かがわかるというものだ。
それでも森川は持ち前の根性で、投げ続けた。サウスポーの彼女が左腕に湿布を貼りながら投げ続ける姿に、こちらも思わず拳を握って見入ってしまう。そしてついに895投目にして、成功させてしまったのだ。
いや、これだけでは終わらない。続いて流れたのは、もうひとつのリベンジであるフライングディスクの「ファイヤーショット」だ。練習1投目こそ明後日の方向へと投げた森川だったが、本番ではすぐに的へ向かって真っすぐに投げられるようになった。
それでもやはり苦戦するも、決して諦めない。何度も「よし!」「できる!」と自分を鼓舞し、ひたすら投げ続けた。
すると262投目、なんと挑戦開始43分で成功! 見事にマッチに着火させ、まさに「ワイルド・スピード森川」の真骨頂を見せつけてくれた。
最後に、終了する番組への思いを聞かれた森川は、
「思ったより早く終わりが来ちゃったなっていう感じはしますけど、でも、みんなの心の中に残り続ける番組が、みんなで一緒に作れたんじゃないかなと思うので、悔いはありません」
大粒の涙を流しながらそう語り、そして笑った。
その姿はとにかく美しく、こちらもついついもらい泣きをしてしまったほど。ああ、これで見納めなんて本当に悲しい。特番でもいいから、是非また復活してもらいたい。「ワイルド・スピード森川」をまたどこかで見たい! そう願ってやまない最終回だった。
(堀江南)