阪神タイガースが4月9日、広島を1-0で下して、本拠地開幕戦を飾った。12球団最後となった本拠地での初戦、先発した昨年MVP・新人王をダブル受賞の村上頌樹は、広島打線を7回まで2安打無失点と完璧に封じ込めると、8回にゲラ、9回を岩崎優がそれぞれ無失点。5回に近本光司が放ったタイムリーヒットの1点を守り切ったのだ。
「完封勝ちに阪神ファンは大いに沸いたのですが、そんなファンをザワつかせる出来事が、試合前に起きていたのです」
そう語るのはスポーツ紙デスクだ。続けて、
「阪神は球団の公式Xに『観戦マナーに関するお願い』と題した一文をアップしたのです」
球団は次のような要望を投稿。
〈今シーズンもご来場のお客さまひとりひとりが観戦マナーを遵守し、すべての皆様が楽しく快適に観戦できる環境を作り上げ、健全な応援でチーム・選手を鼓舞していただきますよう、心よりお願いいたします〉
これに球団OBの能見篤史氏によるVTRも添えたのだ。能見氏はファンによる「くたばれ」という罵声について、
「その言葉、あなたが言われたらどんな気持ちですか。忘れないでほしい、選手もチームも野球も、好きで応援していることを。すべての選手に愛のある声援を!」
観戦マナーに対する球団からの要望は、神宮球場でのヤクルト3連戦でも出されている。試合前、オーロラビジョンに「チーム、選手を誹謗中傷するようなヤジや侮辱的な替え歌の合唱はお止め頂きますようお願いいたします。選手を勇気付ける温かいご声援をよろしくお願いいたします」という一文が掲載されたのだ。
応援団のトランペットに合わせて「くたばれ読売、そーれいけいけ!」と叫んだり、7回裏開始前恒例の「東京音頭」の前奏では「くたばれ読売、くたばれ読売」の合唱も。
悪質な野次撲滅のため、当の阪神球団も甲子園開幕戦を前に、ファンをたしなめざるをえなかったのだ。前出のスポーツ紙デスクが言う。
「敵チーム、あるいは味方チームの選手に対する悪質な野次問題は、別に阪神に限った話ではなく、12球団共通のテーマですが、阪神ファンは特に悪目立ちしてしまうことが多い。OBに動画でこんなお願いをされてしまうのは、恥ずかしいと認識した方がいい。このままではJリーグなどのように、悪質なファンの入場禁止や無観客試合といった厳しいルールを導入せざるをえなくなってしまいます」
誰もが嫌な思いをしないですむような、マナーのある応援スタイルで臨みたい。
(石見剣)