スパイが色仕掛けで政治家や政府当局者らを誘惑し、弱みを握って秘密情報を出すよう脅したりする「ハニートラップ」が、国会でクローズアップされている。「重要経済安保情報保護活用法案」の審議での、焦点となっているのだ。
高市早苗経済安全保障担当相は4月17日の参院本会議で、国民民主党の竹詰仁氏から身辺調査の項目にハニートラップが明示されていないと問題視されたのに対し、次のように答弁している。
「性的な交友関係を契機に(した)外国の情報機関などからの情報漏洩の働きかけは、調査の対象だ」
ハニートラップにかかっているか否かも、身辺調査の対象になるとの見解を示したのである。
これに、弁護士で元大阪市長の橋下徹氏が、Xで猛批判を展開。
〈ハニートラップに引っかかる可能性が非常に高いのが国会議員。にもかかわらず国会議員の政務三役は調査対象外となっているのは本制度の大欠陥〉
確かに大臣、副大臣、政務官の政務三役は「適性評価」なしでも重要経済安全保障情報にアクセスできる、という問題点がある。
ハニートラップをめぐっては最近、警視庁公安部が自民党の松下新平参院議員との関係をマークしてきた中国籍の女性2人が、新型コロナウイルス対策の持続化給付金を詐取した疑いで書類送検された。結果的に不起訴処分となったが、政治の側に対する牽制となった。
イギリスでは保守党の男性下院議員が、出会い系アプリで知り合った男性に同僚らの電話番号を教えてしまい、ハニートラップに悪用されていたことが判明。大問題になるなど、国会議員をターゲットにした事件が起きている。
ただ、橋下氏も指摘したように〈(欠陥を)指摘できる国会議員は野党にもいない〉ため、ハニートラップをめぐる国会での議論は深まりそうもない。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)