予定通り初戦から2連勝で、決勝トーナメント進出を決めた。
パリ五輪アジア最終予選を兼ねてU-23アジアカップに臨んでいる日本代表は、初戦の中国を1-0で破り、2戦目のUAE(アラブ首長国連邦)も2-0で退けると、3戦目のライバル韓国戦を待たずに、韓国とともに決勝トーナメント進出を決めた。
ただ、試合内容は決して褒められるものではなかった。初戦の中国戦は前半8分、右サイドからの山田楓喜の左足クロスを、ゴール前に飛び込んできた松木玖生が左足で合わせて日本が先制し、好スタートを切る。ところが前半17分、西尾隆矢が相手の顔面付近を肘打ちし、一発退場。残り73分間、10人での戦いを強いられた。
それでもGK小久保玲央ブライアンのビッグセーブやクロスバーに救われ、なんとか逃げ切った。
11人で90分間戦っていれば3-0で勝てる相手だっただけに、自ら難しい戦いにしてしまい、試合を完全に壊した。中国がもう少し気の利いた采配をしてきたら、この試合は勝ち点3が1に、または0になっていたかもしれない。
2戦目のUAEは主力選手を招集できずベストメンバーではなかったとはいえ、力の差は明らかにあった。ピンチらしいピンチもなく、快勝だった。90分通して圧倒し、シュート数はUAEの7本に対して23本。それだけの差がありながら、わずか2点しか取れなかった。3点目、4点目を奪うチャンスがあっただけに、決定力という部分では課題が残る。
それでもUAE戦では、中国戦から先発を7人変更して臨んだ。多くの選手が大会の雰囲気を含め、試合を経験できたのは大きい。大岩剛監督は決勝トーナメントに入ってから、悩むことなく思い切った選手起用ができるだろう。それは大きな収穫だ。
ひとつ気になるのが、今大会はVARが積極的に介入していること。現にグループリーグ第1節の8試合で、7枚ものレッドカードが出ている。第2節では各国が警戒したのかゼロだったものの、負けられない決勝トーナメントになれば、大きな力の差はない。ギリギリの戦いになる局面もあり、不用意に手や足が出る。VARの介入には細心の注意が必要だ。
決勝トーナメント進出は当たり前。本当の戦いはこれからだ。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。