春のGⅠシリーズが続いており、4月28日は京都で天皇賞・春、翌週の5月5日には東京でNHKマイルCが行われる。
春の盾はスタミナを競う芝3200メートル戦で、現在では世界的にみてもマレな長丁場のGⅠ戦だ。古式豊かな日本的なレースと言っていいが、騎手の技量や駆け引きが問われるため、見ている側は熱量が増す競馬でもある。
今年のメンバーも豪華だ。昨年の菊花賞馬で4カ月半ぶりの前走、金鯱賞で2着を確保したドゥレッツァを筆頭として、昨年のダービー馬タスティエーラ、使われつつ地力強化を見せるチャックネイト、さらには前哨戦の阪神大賞典の1~3着馬、テーオーロイヤル、ワープスピード、ブローザホーン、そしてそのテーオーロイヤルとダイヤモンドSでクビ差の接戦を演じたサリエラなど、顔ぶれは多彩。ただ、絶対視できる強力な主軸は見当たらず、難解かつ波乱含みの一戦と言っていいだろう。
まずはデータを見てみよう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単での万馬券は8回(馬連は7回)。この間、1番人気馬は4勝(2着3回)、2番人気馬は8勝(2着2回)で、1、2番人気馬でのワンツー決着は3回。堅い時もあるが、中穴傾向のGⅠ戦と言っていいか。
年齢的には6歳以上の古豪もよく健闘しているものの、過去21年では4歳馬が10勝(2着5回)、5歳馬は8勝(2着7回)と、圧倒的な強さを誇っている。そうであれば、前述した有力候補の4、5歳馬の中から主軸を選ぶのが馬券の筋だろう。
とはいえ、波乱含みの一戦とみた以上、当欄としてはデータにとらわれることなく、思い切った予想をしてみたい。
最も期待を寄せたいのは6歳馬、それも牝馬のプリュムドールだ。
前走の阪神大賞典は勝ったテーオーロイヤルの強さが際立ったが、この馬もしまいのよさを生かしての4着。しかも、ひと息入ったあとで、まだ体に余裕があったことを思うと、評価できる内容だった。
ハナからここが春最大の目標。使われたことで馬体が締まり、この中間は実にいい雰囲気にある。1週前の追い切りも軽快で、リズミカルだった。
「思惑どおり、馬の状態がよくなった。長丁場のスタミナ勝負は願うところ。強敵相手でも、そうヒケは取らない」
と、奥村豊調教師をはじめ、厩舎関係者が口をそろえている。
父はこの京都で菊花賞、天皇賞・春を勝ったゴールドシップで、近親、一族にはダービー馬タニノギムレットをはじめ、スタミナ豊富な活躍馬が多くいる血筋。筋金入りのステイヤーと言ってよく、一発十分とみたい。
逆転候補に挙げたいのは、ブローザホーンだ。
前走の阪神大賞典は8着と1番人気を裏切る結果となったが、転厩初戦とあって、まだ本来の姿になかった。もちろん、この馬もここが目標で、使われて大幅な良化ぶりをうかがわせている。
しかも京都の舞台は〈2 0 0 1〉と相性抜群。こちらもエピファネイア(菊花賞)産駒で長丁場は持ってこい。道悪も得意なので晴雨にかかわらず、勝機は大いにあるとみた。