年間を通して温暖な気候であり、贅沢をしなければ物価は日本の3分の1程度といわれ、日本人の移住先として人気が高いタイ。増税や円安の影響で、日本からタイに進出して働く日本人は増加している。
実はタイで飲食店を開業しながらも、わずか1年で帰国した男性がいる。いったい何があったのか。この男性によると、在住日本人同士のトラブルが原因だったというのだが…。
2023年の情報によると、タイには7万2308人の在留邦人がいるとされ、これは世界で5番目に多い在留邦人数だ。しかしその分、日本人同士のトラブルも多いといわれている。帰国した男性が振り返る。
「タイの日本人コミュニティーはいわば村社会のようなもので、日本人の噂が広まるのは非常に早いのです。最近では裏社会の人間や、チンピラのような日本人も増えてきています。特に飲食店は彼らに目をつけられやすく、一度そうなると終わりです」
男性が出店して半年ほど経った頃、そのトラブルは突然、降りかかった。
「自称コンサルタントの日本人が店に来たのです。最初は感じが良く、仲良くしていました。しばらくすると『この店のコンサルを任せてくれないか』と言われました。断っても何度も頼んできて、あまりにもしつこかったので、出入り禁止にしたんです。するとその日から嫌がらせが始まり、店の口コミに誹謗中傷が繰り返し書かれるようになりました」(前出・男性)
口コミには「まずい」「食材が腐っている」などのオンパレードで、ネット上に男性のプライベート写真が貼られるなどの、悪質な嫌がらせが続いた。その結果、最初は繁盛していた店への客足は、徐々に遠のいていった。
「日本人の飲食店には基本的に在住日本人や旅行者が多く訪れるため、一度評判を下げてしまうと、もうどうにもならない。売り上げはすっかり落ち込み、家計が火の車になりました。妻と子供を養うことができなくなり、泣く泣く日本に帰国したのです」(前出・男性)
もしこれが日本であれば警察に相談するなど、何かしらの対策を取ることができたかもしれない。しかし、ここは異国の地。助けてくれる人はいなかった。
「タイの日本人コミュニティーの複雑さを全く調べずに進出してしまい、その結果、トラブルに巻き込まれてしまった」
と男性は悔やむ。
海外でトラブルが起きた場合、解決するのは難しいことが多い。海外で働きたいと考える日本人は多いかもしれないが、しっかりとした下調べや現地での人間関係構築などの準備が必要だろう。