身の回りにある不要な持ち物の数を減らすことで、生活や人生を整理する「断捨離」。やましたひでこの著書がヒットして以降、モノを「捨てる」という行為は、今やすっかりブームとなった。確かに部屋は狭いし、なのにモノはどんどん増える‥‥。「捨てる」ブームは、現代人に起きるべくして起きたムーブメントなのかも知れない。
春の引っ越しシーズンもまもなく。そこで今回は、荷造りの準備を始める前に知っておきたい、本棚の整理術をレクチャーしたい。
数ある持ち物のなかでも、「捨てる」か「捨てない」かの判断がとりわけ難しいのが本の類。しかし、たいていの本には「お役御免」となる時期があり、これを見極めることで、本の処分は決断できる。試しに「ぜったい捨てられない!」と思いこんで長年大事にしている実用書などの発行年月を調べてみよう。すると、発行から10~20年も経過している本がなんと多いことか。
時代の変化がどんどん加速している現代、10年もの間には社会の構造も価値観も大きく変わり、技術も格段に進んでいる。何よりも自分自身が成長し、その本の内容を追い越していることはよくあることだ。
それ以前に、久しぶりに開く本というのは、カビがついて嫌なニオイがしたり、ページがくっついていたり、カラー写真の印刷が変色していたりもする。そのとき「あれ、こんな古臭い内容だったかな?」という違和感があったなら、残念ながらそれが“潮時”ということなのだ。
永遠の命を持つような名作やロングセラーは別として、どんな本もたいていは、かつての鮮度が失われ、役目を終えるときがくる。その年月をふり返って、自分や社会がどんな風に変わったか(変わっていないか)を、あらためて確認してみると、ちょっと寂しくても、感謝をもって前向きに古い本たちを手放すことができるだろう。
その空いたスペースこそが、未来のためのスペースとなるはずだ。