旧民主党は、他党を批判するために放った言葉が自身に戻って突き刺さる「ブーメラン」が「お家芸」と言われた。7月7日投開票の東京都知事選「七夕決戦」への出馬を表明した蓮舫参院議員は、旧民主党の「伝統」を引き継いでしまった。
蓮舫氏は5月27日の出馬会見で、小池百合子都知事のカイロ大学卒業「学歴詐称疑惑」報道について、こう言った。
「選挙に出るのであれば当然、プロフィールも含めて、ご本人が説明しなければいけない。ご本人がきちんと説明することに尽きる。3選するとなると、ジャーナリストも都民も私も、その経歴には注目しています」
疑惑に対する説明を求めたのである。
だがそっくりそのまま、説明責任を追及されているのは、蓮舫氏自身だ。なにしろ国籍法に違反して、台湾籍と日本国籍の「二重国籍」だったのだ。2016年9月に台湾籍の離脱手続きを行い、翌10月に日本国籍の選択宣言を目黒区役所に届け出たことを示す戸籍謄本の一部などを開示したが、あくまで一部にすぎない。
国籍法では日本国籍を選択する場合、22歳までに選択宣言をする必要がある。蓮舫氏は17歳の時に台湾籍を放棄したと語っていたが、それがウソであることが発覚。その後に日本国籍のみを選ぶ届け出を提出したという。
蓮舫氏は2004年の選挙公報では、二重国籍だったにもかかわらず「台湾籍から帰化」と書いていた。2016年の選挙でも、公式サイトには「日本国籍」とある。いずれも公職選挙法違反(経歴詐称)だったのだ。
学歴詐称よりも国籍詐称のほうがはるかに深刻であることを、蓮舫氏はわかっていないようである。なぜなら、内閣総理大臣は国会議員の中から選ばれる。蓮舫氏も国会議員であれば、首相になるチャンスがある。その人物が二重国籍保持者など、ありえないことだ。
蓮舫氏は小池氏に説明を求める前に、改めて自身の二重国籍問題に完全決着をつける必要がある。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)