6月28日に運行されたカシオペア紀行と、その車両の返却が6月29日に行われ、沿線にはいつもより多くの撮り鉄が詰めかけた。というのも、カシオペア紀行は東北エリアでの運行はこれが最後、という噂が広がったからだ。鉄道ライターが解説する。
「臨時特別急行列車の『カシオペア』は2016年に運行を終了し、以降は団体専用列車の『カシオペアクルーズ』『カシオペア紀行』として運行されてきました。E26系客車が老朽化しており、牽引する電気機関車も古くなっていることから、引退が噂されていたんです。カシオペア紀行は主に上野と東北地方を結ぶルートで運行されてきたきたのですが、今後の運行予定には東北地方へ行くプランがない。そこで今回を最後に、東北地方の運行が終了すると言われるようになりました」
現在発表されているカシオペア紀行の運行予定は、上野駅を出発して宇都宮線を走り、小山駅で折り返して上野駅に帰ってくる、これまでにない短いツアーのみ。東北地方から引退の可能性は高そうだ。
これに撮り鉄からは嘆き節が。「撮るものがなくなる」というのだ。列車は今も多く走っているのに、である。その事情を、前出の鉄道ライターが語る。
「撮り鉄は列車なら何でもいい、というわけではありません。通勤列車などは、車両引退の直前にならないと見向きもしません。人気があるのは国鉄時代の車両や、機関車が牽引する貨物列車、ブルートレインです。しかし、ブルートレインはすでに全廃されていて、残っている客車を使った寝台特急はカシオペア紀行だけ。それすらなくなったら、もう何を撮ればいいのか、という心境なんです」
とはいえ、撮り鉄が撮影をやめるとは考えづらく、数少ない被写体に集中することになりそうだ。今後はこれまで以上に、撮り鉄が問題を起こす機会が増えるかもしれない。
(海野久泰)