米ワシントン州に拠点を置き、数十年にわたって全米におけるUFO目撃情報のデータを収集・分析している非営利団体「National UFO Reporting Center」によれば、1995年以降、全米各地で報告されたUFO目撃情報は、延べにして約13万4000件あまり。そんな同センターが2022年、州別にUFO目撃情報の統計を発表すると、大きな話題になった。
データによれば、UFO目撃談がダントツだったのはカリフォルニア州で、その数は1万6444件。2位は8408件のフロリダ州で、以下、3位・ワシントン州(7297件)、4位・テキサス州(6288件)と続く。逆にノースダコタ州などは278件にとどまり、政府機関が集まるワシントンD.C.に至ってはわずか156件と、意外な結果に驚きの声が上がったものである。UFO研究家の解説を聞こう。
「UFOといえば、昔からニューメキシコ州をイメージする人が多かったのですが、その理由は同州にある人口4万7000人の小さな町、ロズウェルで1974年にUFO墜落事件があったからです。これを境にロズウェルはUFOマニアの聖地となり、現在も複数のコミュニティーが形成されています。そのため、ニューメキシコ州が上位にくると思っていたのですが、意外にも統計ではトップ10以下。確かにカリフォルニア州にはベンチュラカウンティー海軍基地やビール空軍基地など、主要軍事施設が数多く点在します。加えて、スペースXやボーイングといった航空宇宙産業の拠点も多い。特にネバダ州と隣接するグルーム・レイクには『エリア51』として知られる、ロッキード・マーティン社の航空機試作部門のスカンクワークス工場がありますからね。周辺にあるモハベ砂漠やデスバレーでは現在もなお、様々な形をした未確認飛行物体が日常的に目撃されているそうです」
それが宇宙から飛来した宇宙船なのか、米軍によって秘密裡に開発された試作機なのかは不明だ。ただしカリフォルニア州では、軍事施設があるエリアだけでなく、ロサンゼルスやサンフランシスコといった大都市でも、多数の目撃情報が寄せられているという。
「目撃されたUFOの種類は、オーソドックスな円盤型からオーブまで多岐にわたり、1年を通すと特に夏に目撃件数が多いといいます。西海岸に面するカリフォルニア州は1年を通じて晴れの日が多く、UFO観察に適した環境であることも、目撃情報が多く寄せられる理由のひとつでしょうね。2位のフロリダ州との差はおよそ8000件。その数字を見ても、カリフォルニア州に集中していることは明らかですね」(前出・UFO研究家)
ちなみに2位のフロリダ州にはNASAのケネディー宇宙センターがあり、3位のワシントン州では、1947年にレーニア山付近でパイロットが目撃した事件が有名だ。ワシントン州には国立UFO報告センター(NUFORC)や相互UFOネットワーク(MUFON)など、UFOに関する情報を収集・分析する組織があり、現在も調査活動が行われてる。
(ジョン・ドゥ)