「任期満了に伴い、WEリーグ理事長(チェア)のポジションを退任することになりました。お世話になった全てのみなさまに、心よりお礼申し上げます」
9月18日にオンライン会見を開いたのは、サッカー女子プロリーグ「WEリーグ」の2代目チェアを務める髙田春奈氏だ。
父は「ジャパネットたかた」創業者の髙田明氏で知られ、2020年1月から父の後任としてサッカーJ2のV・ファーレン長崎の社長に就任。2022年3月にはJリーグ理事、日本サッカー協会理事、同年9月からチェアに就任し、手腕が期待されていた。
「大きな目標に掲げていたのは、2011FIFA年女子ワールドカップで日本代表の『なでしこジャパン』が初優勝の快挙を達成した後に起きた、人気の再現でした。空前のなでしこフィーバーで女子サッカーが世間の関心事になり、エースの澤穂希ら日本代表7名が所属するINAC神戸の試合には、1万7000人以上の大観衆がスタンドに足を運んだこともありました」(サッカーライター)
2020年に発足したWEリーグでは、1試合の平均観客数を「5000人」に設定していた。だが、2021年―2022年シーズンの1季目は平均1560人、2季目は平均1401人と大苦戦。髙田氏が就任し、WEリーグ発足後に初めて行われた2023年女子W杯では、なでしこジャパンがベスト8に進出する活躍だったが、3季目は平均1723人と観客数は伸び悩んだ。
目標を達成できなかったことで1期2年の任期満了で退くことになったが、続投が支持されなかった理由は他にもあったようだ。前出・サッカーライターはこう話す。
「新体制に刷新される背景について、リーグ側からクラブへの配分金を大幅に減らされることをめぐって『WEリーグに所属する12クラブが髙田体制に反旗を翻した』と、一部メディアがスッパ抜いたんです。そうした不満が爆発する形になりましたが、そもそも目に見える成果は上げられず、改革したことといえば『WEリーグの本拠地を東京都文京区から渋谷区に移転しただけ』と揶揄されることも。今後は3代目チェアにJリーグの野々村芳和チェアマン、副理事長に日本サッカー協会会長の宮本恒靖会長が、現職と兼任で就任する見通しです」
4季目のシーズンは9月14日に開幕したばかり。今後は新体制で足並みを揃えてリーグを盛り上げてほしいが…。
(海原牧人)