「これ以上、多くの方々にご負担、ご迷惑をお掛けすることは避けたい。参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」
これは11月8日になって突然、訴えを取り下げた、ダウンタウン・松本人志の釈明である。
複数の女性が、松本から性的行為を強要されたとする「週刊文春」の記事に全面対決を宣言した松本は芸能活動を休止して5億5000万円の損害賠償訴訟を起こし、訂正記事による名誉回復を求めていた。それが急転直下の「裁判終結」である。
自ら「潔白」を証明しようとしたはずが、実際に性的強要があったのかどうか、うやむやになるという事態に。松本にとっては実質的に、敗北に近い幕切れとなった。損害賠償は認められず、訂正記事も掲載されない上に、松本の名誉が回復されるとは言いがたい。早くお笑いの現場に戻りたいとはいえ、テレビ局ではスポンサーの意向を考えると、そう簡単に復帰とはいきそうにない。
そんな状況にもかかわらず、松本シンパの芸人からは軒並み、復帰宣言を喜ぶ声が続出している。
「松本のテレビ復帰をニラんで、忖度した発言をする芸人が多い。松本の心証を良くし、今後の自身の仕事に繋げようという気持ちが透けて見えます。性被害を受けたとされる女性への心遣いが全くないですしね」(放送作家)
事実、そうした芸人を批判する声は多い。
シンパ芸人のひとりであるオズワルドの伊藤俊介は、松本が訴えを取り下げたその日、Xに次のようにポストした。
〈松本さん!!ダウンタウンが戻ってくる!!やっと!!嬉しすぎ!!〉
これがなんと、妹の沙莉に批判の矛先が向けられる事態になっているというから、尋常ではない。兄の安易な発言で、妹のイメージまで損ねてしまう…というものだ。
沙莉は今年9月まで放送されていたNHK連続テレビ小説「虎に翼」で主演を務め、国民的女優の仲間入りを果たした。 大晦日の「第75回NHK紅白歌合戦」では有吉弘行や橋本環奈とともに、司会者としての出場が決まっている。
「沙莉にとっては、とんだトバッチリ。橋本にはパワハラ疑惑が持ち上がっている。その上、沙莉の評判まで落ちる事態は避けたいところ」(芸能記者)
兄の発言で妹のキャリアに傷が付く、などということにはならないにせよ、なんとも予想外の「事件」となったのである。
(石見剣)