サッカー・フランス代表のキリアン・エムバペの名前は、サッカーファンならずとも聞いたことがあるかもしれない。
16歳でプロデビューを果たすと、わずか2年後にフランス代表入り。2018年のW杯で優勝後、国内リーグで数々のトロフィーを手にした。2022年W杯では惜しくも準優勝に終わったが、得点王に輝いた。いわば、世界一の点取り屋である。
だが、本人が「プレーすることが夢だった」と語るスペイン1部リーグのレアル・マドリードへ移籍した今季、思ったような活躍ができていない。11月28日(日本時間)の欧州チャンピオンズリーグでは、日本代表の遠藤航を擁するリバプールと対戦したが、PKのチャンスで外し、敗戦するなど、精彩を欠き続けている。サッカージャーナリストの解説。
「定位置の左ウイングではなく、センターフォワードで起用されていることも、不調の原因ではあります。が、エムバペ本人にも問題があります。全く守備をしなくなっているんですよ。他の選手への負担が増え、チーム全体のバランスが崩れることに加え、守備放棄というサボリを続ける選手が信頼されるわけもなく、チーム内で孤立していますね」
その予兆は前所属クラブでも見られた。フランス1部リーグのパリ・サンジェルマン(PSG)にいた頃から、まるで「王様」のような独善的な行動が目についたのだ。
「PSG時代はブラジル人スターのネイマールと折り合いが悪く、エムバペがクラブに働きかけて追い出したと言われています。同じような目にあった選手や監督は他にもいて、クラブが自国の英雄を甘やかし、すっかり『王様』にしてしまったというわけです」(前出・サッカージャーナリスト)
この頃からプレーでは「攻撃時にしか頑張らない」という「王様化」が始まっており、レアルへの移籍を前にして、完全に「裸の王様」になってしまった。スポーツ紙記者が言う。
「残ってほしいPSG側と、レアルに移籍したいエムバペは決裂し、給与未払い問題や嫌がらせのような出場規制などが持ち出されました。加えて、代理人であるエムバペの母親の、クラブへの介入も発覚し、完全にタブー視される状態に陥った。世界最高の選手であると同時に、最大のトラブルメーカーになったわけです」
エムバペは子供の頃、レアルで活躍したクリスティアーノ・ロナウドに憧れていたという。確かにロナウドも加齢とともに、守備をしない選手になってはいたが…。
「それでも練習には誰よりも早く到着し、食生活や睡眠など異常なまでにストイックに管理する生活を続け、ここぞという時にゴールを奪う決定力にはいまだ定評があります。エムバペはロナウドのマイナス面だけを模倣しており、プライベートでは夜な夜なパーティー三昧、しかもベテランや監督の忠告を無視しまくりと、完全に『愚王』と化してしまっている。エゴを捨てて意識をガラッと変えない限り、調子を取り戻すのは難しいと思います」(前出・サッカージャーナリスト)
直近では性的暴行疑惑でスウェーデン警察の捜査を受けている、とまで報じられており、「弱り目に祟り目」のエムバペ。全てを跳ねのけて完全復活する姿を、ファンは待ち望んでいるが…。