昨年10月に脱線事故が発生し、今も全線で運行を休止している千葉県のいすみ鉄道。それから2カ月以上経っても運行再開の見込みは立っておらず、このまま廃線になるのではないか、と心配する声が上がっていた。
そんないすみ鉄道に、復帰を後押しする救世主が現れた。同じく千葉県内を走り、上総中野駅でいすみ鉄道と接続する小湊鐵道だ。両鉄道会社は千葉銀行とともに「房総横断鉄道たすきプロジェクト」をスタートさせると発表したのだ。
このプロジェクトは沿線エリアの活性化を目指すもので、クラウドファンディングを立ち上げて、いすみ鉄道の車両に新たな塗装をするプロジェクトや、沿線グルメ開発計画、観光ツアーの催行などが予定される。
現在、いすみ鉄道は全線で運行を休止しているが、それでも同プロジェクトを小湊鐵道と千葉銀行がスタートさせたことで、いすみ鉄道は復旧へ向けて動き出したのである。
この協力体制を、鉄道ライターは涙なしには見られないという。
「いすみ鉄道は大原駅と上総中野駅を結び、小湊鐵道は上総中野駅から五井駅の間を走り、房総半島を横断しています。大原から五井、あるいはその逆を乗り通す観光客が少なくありません。観光的に見ると、2つの路線はひとつなんです。小湊鐵道も経営は決して楽ではありませんが、大切なパートナーを救うため、手を差し伸べたことに感動しました」
小湊鐵道の後押しを受けて、いすみ鉄道は今年春をメドに一部区間の運転再開を目指すと発表した。1日でも早く、大原から五井まで乗り通す日が来てほしい。
(海野久泰)