2005年の競馬界に起きることは何か。まずは騎手からみていく。
ズバリ、2025年に最も期待できるのは、佐々木大輔だ。2024年はスマホの不適切使用により1カ月間の騎乗停止処分を受けながら、リーディング11位。東の騎手では戸崎圭太、横山武史に次いで3位だった。勝利数は1年目9勝、2年目68勝、3年目77勝(重賞3勝)とうなぎ昇り。次は100勝も十分可能だろう。
強みは堀宣行、須貝尚介といった東西のトップトレーナーから信頼され、騎乗依頼があること。例えば2024年12月22日の京都では、須貝厩舎の6頭全てに騎乗している。新馬戦で2着のテルアスワッド以外は全て着外に終わったが、これを見ても佐々木への期待の大きさがわかる。
その騎乗ぶりはどうかといえば、連対時脚質の5割以上を差し、追い込みが占めているように、追えるのが大きな魅力。重賞3勝のうち、札幌2歳S(GⅢ)のマジックサンズと、サウジアラビアRC(GⅢ)のアルテヴェローチェはともに、中団以降から差し切ったものだ。
佐々木については豪州の名手ダミアン・レーンが、こう評している。
「ポテンシャルが高く、このまま成長していけば、将来は注目される騎手になる」
2頭の有力3歳馬がいるので、春にはGⅠ制覇を成し遂げるかもしれない。
一方、調教師に目を向ければ、2024年3月に開業した福永祐一調教師から目が離せない。新調教師の中ではトップの17勝(重賞2勝)を挙げて、期待通りの結果を残した。
「いろんな厩舎からキャリアのあるスタッフが集まってきてくれて、自分の経験のなさを補ってくれた」
本人はそう語るが、自身の努力のたまものだろう。自ら積極的に調教に乗り、自分の目を通して馬の適性や特徴、調子を把握することに努めていたのだ。だからレース選択に狂いがないと言われた。その証が、連対率2割3分7厘というハイアベレージだった。
開業するにあたっては、いろんな厩舎から馬を引き継いだため、自ら手掛けた馬は半分ほど。その半分ほどにあたる3歳馬も頑張ってはいるが、夏以降にデビューする2歳馬に、楽しみな馬が多い。
例えば、すでに馬名登録を済ませているサガルマータ(牡)は、福永師が騎手時代に主戦を務めたコントレイルの初年度産駒で、一昨年のセレクトセールでは5億2000万円(税抜き)で取り引きされた。馬名の由来はネパール語で「世界の頂上」だ。
他にもこの世代は評判馬が多く、期待が高まっている。腕の見せどころだろう。
(兜志郎/競馬ライター)