J1初昇格で初優勝に手が届きそうだった、昨季3位のFC町田ゼルビア。大躍進が決してまぐれではなく、そして今季こそ優勝を狙うために、オフシーズンは補強に注力している。サッカーライターは、その適材適所ぶりに舌を巻く。
「前線には横浜F・マリノスからFW西村拓真が加入。ロシアやスイスでプレー経験もある元日本代表はゴールへの嗅覚の鋭さや90分間走り切れる底なしの体力を持ち、町田のサッカーにドはまりするとみられています。中盤にはアビスパ福岡のMF前寛之を獲得。J1通算147試合に出場し、攻守にわたりキーマンになれるボランチです。昨季の第19節で町田のホームで試合した際には球際の強さが光り、次々とボールを奪取。的確な判断ができる戦術眼に優れ、黒田剛監督がほれ込んだといわれていますね」
鈴木準弥が横浜FCに移籍すると、右サイドバックには日本代表のDF望月ヘンリー海輝とポジション争いができるFC東京のDF中村帆高を、すぐさま補強。
さらにサッカーファンを驚かせたのは、2連覇中のヴィッセル神戸から、センターバックの菊地流帆を獲得したことだった。サッカーライターが続ける。
「188センチの大型DFで、エアバトルはJリーグ屈指。競り合いや1対1で勝った時に雄叫びを上げる熱すぎる男として知られ、元日本代表のDF昌子源とのコンビは、相手にとって脅威でしかありません。黒田監督は青森山田高校時代の恩師であり、戦術を理解していることは強みになります」
これで縦のラインの「スキのない」大型補強に成功。メンバーだけを見れば、優勝してもおかしくない盤石の体制が整ったというわけだ。
「J1初挑戦だったという理由で、勘違いしているアンチが多い。はっきり言って、すでに町田はJリーグを代表するビッグクラブです。サイバーエージェントの豊富な資金を武器に移籍市場でのマネーゲームを優位に進め、昨夏には日本代表のDF中山雄太と相馬勇紀を獲得しています。黒田監督の希望に沿って補強するのでフロントと現場のズレがなく、余剰人員をうまく整理しながらチームを強化するマネージメント能力が高い。他チームにとって、昨季以上に手ごわい存在になっているのは間違いありません」(前出・サッカーライター)
今季も再び、アンチをイライラさせることになりそうだ。
(風吹啓太)