この時期、プロ野球界で恒例の話題は「ルーキーの入寮」。近年、目立つのは、選手が持参する「ぬいぐるみ」だ。
日本ハムからドラフト2位指名を受けた東海大相模・藤田琉生は、千葉・鎌ケ谷の勇翔寮に一番乗り。中学時代のチームメートから贈られた巨大な猿のぬいぐるみを片手に「見える場所に置きたい」と笑顔で語った。
阪神のドラフト2位、報徳学園・今朝丸裕喜は、等身大のドラえもんのぬいぐるみとともに入寮。1位のNTT西日本・伊原陵人も大きなスヌーピーのぬいぐるみ2体を持ち込むなど、ドラ1とドラ2がぬいぐるみを抱いてプロへの第一歩を踏み出した。
今やぬいぐるみ入寮は珍しい風景ではなくなり、地元を離れて集団生活を始める新人選手にとっては、むしろ大切な心の支えなのかもしれない。
ただし「いい年してデカいぬいぐるみはないだろ」とツッコミが入るのもお約束で、実際に特大ぬいぐるみを持参した選手が大活躍して好成績を残したケースは、それほど多くはない。そんなぬいぐるみと成績の関係を見ると、賛否が分かれるところだ。
もっとも、過去にはぬいぐるみ持参など微笑ましく思える、こんな豪傑選手がいた。
2012年、中京学院大からドラフト2位で広島に入団した菊池涼介は「内野と外野、どちらも守れるように準備していきたい」と2種類のグローブを持参して入寮。他の選手が自身で送料を払って宅配便などを利用する中、「着払い」で荷物を送り付けたことで「あいつは変わってるな」と大野寮の道原裕幸寮長が目を丸くしたという。だがその日の夜から屋内練習場でバッティングする菊池の姿に、道原寮長の見る目はすぐに変わったとか。
2023年にはアンパンマンのぬいぐるみ15個をお守り代わりに持ち込んだ中日・野中天翔のような選手もいる。ぬいぐるみを心の支えにいい成績を残すことができるのであれば、ファンとしても歓迎したいところだが…。
(ケン高田)