これがセ・リーグでもDH制導入への大きな一歩となるか。プロ野球の榊原定征コミッショナーは日本野球機構(NPB)が年明け早々に、NPB国際化の推進に言及した。その中でセ・リーグのDH制については、
「セ・リーグとパ・リーグでルールが違うというのは、ノーマルな状態ではない。メジャーリーグは両方ともDH制になりましたけどね。趨勢としてはそういう方向であることは間違いない」
セ・リーグへのDH制導入をめぐっては、巨人の原辰徳監督(当時)が2019年オフから提唱し、実行委員会などで再三、提案し続けてきたが、他のセ5球団は反対の立場を崩さなかった。この時は原監督の上から目線の物言いが他球団の反感を買ったといい、他の球団が提案していたら採用されていたのでは、と言われている。
では現在、セ・リーグ各球団はDH制をどう考えているのか。阪神の藤川球児監督は以前から「100%賛成。すぐにでも導入が好ましい」と口にしている。中日やヤクルトも、前向きな姿勢を見せている。
一方で頑なに反対の姿勢を掲げているのが広島だ。松田元オーナーの持論はこうだ。
「パ・リーグとセ・リーグ、それぞれ違いがあるから面白い」
親会社を持たず、資金面で他球団よりも劣る広島の場合、巨人のように有力な選手を集めづらいからではないか、と勘繰る向きもあるのだが…。
DeNAの三浦大輔監督も同意見だ。
「セ・リーグはセ・リーグで、特徴があっていいと思う」
その背景には現役時代、「プロ野球投手による安打最多連続年数」のギネス世界記録に認定されていることもあり、もともと投手が打席に立つことには前向きだということがあろう。
いずれにしてもDH制の導入には、オーナー会議での承認が必要になる。各球団それぞれに思惑はあるだろうが、導入を求めるプロ野球ファンの声が大きくなれば、近い将来、現実のものとなるかもしれない。
(ケン高田)