情勢や時代の変化などにともない、プロ野球のルールには適宜、変更が加えられることがあるが、クライマックスシリーズ(CS)をめぐってはかねてから、制度そのものの見直しを含め、改善を望む声があとを絶たない状況となっている。
セ・パ両リーグとも、レギュラーシーズンの成績によってのみリーグ順位が決まるとはいえ、CSにおいては、場合によっては借金があるチームでも日本一になる可能性がある。上位3チームによって日本シリーズ出場チームを決めることで、例えば昨年はシーズン3位のDeNAが「下剋上」を果たし、日本一に輝いた。2010年にもシーズン3位のロッテが中日を破り、日本シリーズを制している。リーグ優勝チームとそのファンにとっては、なんとも不条理な制度だと、やりきれない気持ちを抱えることになろう。
ではどうすれば、より公平で不満が出ないようになるのか。今、とある「新ルール」が野球ファン交流サイトなどで提案され、賛否を含めた様々な意見が上がっている。これが思いのほか、賛同者が多いのだ。いったいどんなものなのか。
現行のCSは、ファーストステージとしてシーズン2位と3位のチームが戦い、勝者がファイナルステージへと進む。ところが新案では、まず1位と3位が3試合を行い、1位が勝利した数だけ2位とのアドバンテージをつける。3位のチームは3連勝した後でさらに特別試合を行い、4連勝して初めて勝ち抜けとなる。1位のチームは勝利数に応じ、最低1勝から3勝のアドバンテージを得て2位と対戦する。
3位のチームが初戦で負けた場合、その後は消化試合となるが、1位のチームにとってはアドバンテージを稼ぐ場であり、全力勝負が求められる。3位よりも2位の試合数が少なくなる可能性があるため、この新案が万全だとは言い難いが、ひとつの提案として、見るべき部分はあろう。
最初から1位と2位で日本シリーズ進出を決めればいい、という意見は根強いが、これまで3位チームが日本一になったのは、2010年のロッテと2024年のDeNAの2回のみ。日本一の可能性は限りなく低いが、ワンチャンあるという意味では、現行方式は絶妙なバランスといっていい。
そもそもCSが導入された理由には、1位のチームが独走した際の消化試合を減らす、というものがある。まれに発生する下剋上には賛否両論あるものの、球場が満員御礼になるほどの盛り上がりを見せているのは、CSの成功を意味している。
今後も様々な方式が提案されるだろうが、大いに議論を交わし、よりポストシーズンが盛り上がることを期待したい。
(ケン高田)